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内容説明
古代中国二千年のドラマをたたえて読み継がれる『史記』。中国歴史小説屈指の名手が、そこに溢れる人間の英知を探り、高名な成句、熟語のルーツをたどりながら、斬新な解釈を提示する。この大古典は日本においても、清少納言、織田信長、水戸光圀、坂本龍馬にと、大きな影響を与えていたことに驚愕させられる。世のしがらみに立ち向かった先人の苦闘が甦る101章。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
66
史記をほめる人は多いが、宮城谷さんは、正確さには信頼を置いていないようである。とはいえ、その描かれた時代を自在にエッセイ化するには、やはり史記はアイディアの尽きない古典だ。記述の矛盾を解決するために、他の古典から補ったりと、なかなか興味のネタは尽きない。個人的には春秋・戦国よりも、殷・周がおもしろいと思う。古ければ古いほど謎の解き甲斐もある。2019/01/24
KAZOO
59
史記に関する筆者の思いを語ったエッセイ集です。私は史記を読んでいますのでわかるのですが本当に記述は簡潔であると感じます。でも宮城谷さんはそこから膨らませて物語をおもしろいように紡いでくれます。それに関するヒントなどが詰まっているような気がします。何度も読み返したい本の1冊です。2015/03/20
しゅてふぁん
49
中国の春秋戦国時代といえば『史記』、平安貴族もたしなんだ中国の古典。101の項目について分かり易く簡潔に説明されている。枕草子に書かれている‘かゆの杖’は中国の殷の風習だ、とか、‘姫’は周王室にゆかりの姓であるため、日本でも貴女のことを‘姫(ひめ)’という、とか、どの項目も読んでいて「へぇ~」「なるほど」と雑学本を読んでるみたいで楽しかった。漢字は中国から伝わったものだから当たり前なんだけど、日本は古代中国の影響をもろに受けているなと実感した。2020/08/23
アルピニア
46
最近、「悟浄出立/万城目学」や諺の出典で読む機会があり、気になっている中国古典。しかしどこから取り付いたらよいかあまりにも巨大で途方に暮れていたときに出会った本。新聞(産経)、雑誌(「波」新潮)の連載をまとめたものとのことで、一題2~3ページ、項目は「人知の宝庫」から「漢の文帝」まで101。他の文献の引用もあり、それぞれについてもう少し詳しく読みたいと思ってしまう。特に暦や位階の呼称、坂本龍馬や織田信長に見る影響など日本との関わりが興味深い。おそるおそる覗いてみたが、私のような入門者にはぴったりだった。→2017/09/17
とも
37
★★★★中国の古代歴史書司馬遷作「史記」を題材に、人、戦いは勿論、文化、風俗などを思いのまま書き綴っているものであるが、読んでいるとあたかも作家が古代中国に立ってエッセイを記しているような雰囲気を醸し出しており、非常に心地よい。久しぶりに中国歴史モノを読みたいと思わせる気持ちにさせられる一冊。2015/05/24