内容説明
樹海に抱かれた村で暮らす少年、大輝は、ある日、金色の体をした不思議な生き物と出会う。ルークと名づけて飼い始めるが、次第に大輝の体に異変が起きてくる――。静謐な美しい文章と瞠目の幻視力で綴る傑作ダークファンタジー。表題作を含む4編を収録。第25回山本周五郎賞候補作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
226
恒川光太郎さんは幻想小説の作家として、現代の日本で屈指の存在だと思う。特に思うのが過去の作品との既視感が薄いことである。常に斬新で新鮮な異世界を堪能できる。驚嘆すべき手腕だと思う。本作での鍵は「黄金の鼬」。時代を変え、名を変え、「黄金の鼬」は存在する。そして人々はその力に引き寄せられ、また畏怖する。窮奇、雷獣、鎌鼬と時代と共に名を変え生き続ける。そう、元寇から現代まで。手塚治虫さんの「火の鳥」を思い出したが、より禍々しいのだ。「黄金の鼬」の力に惑う人々が儚い。恒川光太郎さんの独創性を充分に堪能できる傑作。2018/01/01
takaC
116
短篇集のような長篇。もしくは長篇のような短篇集。金色の獣「鼬」で繋がる物語。2015/12/01
あん
89
恒川さんの独創的で幻想的な表現が大好きです。これがホラー・ファンタジーと言うのでしょうね。4つの短編は時代背景が違うものの、「金色の獣」で少しずつ繋がっています。自分の感覚が研ぎ澄まされ、小説の世界にあっという間に引きこまれての一気読みでした。どの短編も期待を裏切らない面白さです。2014/12/08
miyumiyu
87
壮大なスケールと世界観に、恒川さんにしか書けない話と、ただただ脱帽。「異神千夜」は、蒙古の襲来という壮絶な歴史的事実を織り交ぜて、不思議な世界を作り上げている。「風天孔参り」「金色の獣、彼方に向かう」は、恒川さんならではのダークファンタジーで個人的にはかなり好み。そして4編ともとにかく美しい文章で、不思議な余韻を醸し出しながら終わるラストが良い。2015/05/03
ゆかーん
74
かなり難易度の高い作品でした。凡人の私には、この世界観を理解するのが難しかったです。これまでのような幻想的な世界観に、歴史という新たなスパイスが追加され、語り継がれてゆく作品の数々。短編集なのですが、そこに共通して登場するのは、『鼬』という金色の目を持った生き物。その土地で生まれた鼬伝説が、時を超えて各時代に蘇り、新たな物語を紡いでゆきます。ホラーでもミステリーでもない、独特な世界を十分に堪能した一冊となりました。2016/05/07




