内容説明
一月~十二月まで、その月ごとの旅の楽しみ方を記した鉄道旅のバイブル。『時刻表2万キロ』『最長片道切符の旅』に続く第三作目として刊行された、宮脇鉄道紀行の初期の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドナルド@灯れ松明の火
19
カバーと出版社が違うので手に取ったが、新潮文庫で【既読】だった。読み返しても「車掌、頭に来ました」は本当に面白い。この本は宮脇さんのユーモアが溢れていて出色の出来である。 お薦め2017/09/17
浅香山三郎
17
河出文庫で読む、宮脇俊三作品。昭和53年頃の日本の地方の車窓と鉄道移動のスタイル、季節感といつたものが滲み出た佳品である。今のやうに、暖冬といふものがなく、日本海側に冬に行けば雪に難渋し、新幹線は未だ太平洋ベルトにしかない。旅も人々もはるかにゆつくりと暮らしてゐる。東京でのサラリーマン生活の慌ただしさのなか、あれこれとそこからの逃亡を図らんと思案するさまも、著者ならではのこだはりが感じられて面白い。2020/01/15
saga
16
本書が国鉄完乗、最長片道切符の旅の次に上梓されたものだったのを、読了後に知った(遅っ)。「鉄道旅行のたのしみ」とは違う切り口で、著者の汽車旅を各月に分割・編集すると、こんな面白い紀行文になるんだなぁ。昭和時代には週末の夜に寝台列車で旅に出て、週明けの朝に寝台列車で帰って出社という羨ましくも大変な旅ができた。今は便利な平成の時代となったが、次々と廃止される夜行・寝台列車、そしてローカル線、特に台風などの災害で鉄路が復旧できずにそのまま休止→廃線となる路線に悲しみを感じる。2013/06/25
はち
12
日本の端っこにいると、無性に遠くへ行きたくなる。汽車なら東京まで八時間。そんな土地に住む俺にとって宮脇作品は妄想の餌になる。季節によって旅に向く、向かないはあるが、どんな季節にもいいとこはある。年末の京都は諸手を挙げて賛成。冬こそ京都の良さは出てくるからね。只見線も乗ってみたい。たどり着くのに一日かかるが…2010/11/24
はち
6
再読。古い時代の日本の鉄道旅。もう亡くなった路線がどれだけあることか。民営化はすなわち効率優先だが、結局効率を追い求めると地方に負担をかけるだけではないのか、と思う。上越線のエピソードは特にそう。2015/04/25