内容説明
『老子道徳経』(老子)は英語をはじめとするさまざまな言語においても、これまで数多くの翻訳書や解説本が出版され、広く読まれてきました。しかし本書は、それらとは全く異質の本であり、次の三大特色があります。
まず第一に、本書の著者、早島正雄(贈り名は天來)が『老子』の教えを、身を以て体し、その教えを生涯貫いた、いわゆるタオイズム(老荘思想)の巨人であるということです。著者は日本道観と道家道学院という、老子の教えを学び、実践する団体と学校を設立し、毎日、そして生涯を、老子の教えの普及に費やしました。著者は日本だけでなく、台湾、中国においても尊敬された有名な人物です。
第二に、著者は『老子』を、単なる古典ではなく、また知識でも教養でもなく、そこに記されていることは、私たちすべてが必ず身に着けて、実践したい「生きる知恵」「運命改善の鉄則」「人生の指針」であることを具体的に明かしています。とくに、物事のとらわれや我執から離れ、それらをすっぱりと捨て去ること、そこに『老子』の最大の眼目があることを具体的に説明しています。
第三に、『老子』は今、現在こそ読まれるべき本であり、まさにこれからの人類の指針であること明かしているということです。人類のエゴ、戦争、紛争、原子力の災害、大地震、津波などの天災、科学技術のもろさ、人間同士の恨みや憎しみ合い、そしてそうした中で人間は、いかに無為自然に生きるとよいのか、ということが具体的に、温かい筆致で、かつ明快に説明されています。
本書は『老子』とは、限りなく古く、かつ何よりも新しい存在であり、国境、時代を超えて、人類に大きな力を与えてくれることを明かしているのです。
『老子』現代語訳のほか、巻末に『老子』原文を収録。