内容説明
廃墟と化した三陸海岸では、累々たる死の傍らで、復興に向けた暮らしが始まった。被災者の断ち切られた記憶を掘り起こし、震災後の生を言葉に刻む、未来に向けての記録。
津波に襲われた町で被災者一人ひとりが経験したこと。助け合って生きる絆。死のかたわらで営まれるいのちの輝きを伝える、未来のための記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちぃ
6
東日本大震災で被災さてた方々の話を、新聞記者がまとめたもの。1~2度だけでない、あししげく通って、人々が自然に言葉にしたものをまとめたんだと思う。人は、辛い記憶から解き放たれるためには、その心情を、記憶を誰かに聞いてもらわなければならないことがある。誰かに聞いてもらって初めて泣けることがある。2014/10/06
kon
1
前評判どおり。見えなくなりがちな個人の歴史と次の一歩を記載している。もちろん、新聞記者としての批判精神も忘れていない。2012/10/28
じむくろうち
1
インタビューの対象に目、耳の不自由な人を選んだのは筆者らしい視点だ。 手話サークル「橋」の小笠原千代美さんと神奈川に避難した中川慎一さんとの 再会の写真は、ほんとうにいい写真であった。釜石最後の芸者の話を本の最後に 持ってきたのもいい選択だった。2012/06/30
けんとまん1007
1
毎日新聞に連載されていたもの。取材に応じられた方々にも、人のつながりがあり、あるいは新しくできて、そこをつながっての連載のようでもある。まさに、その時、生死を分けたちょっとしたことであったり、その後のことがつずられている。そのような状況にあって初めてわかること、表面化すること、変わることなど、人の強さ・弱さがある。もちろん、今、この時でもあっても、ずっと続いているし、これからも続く暮らしがそこにある。そういう観点だけは、失いたくないと切に思う。2012/04/14
ドシル
0
2011年5月2日から9月2日まで毎日新聞に連載された「三陸物語」に加筆・修正されて1冊の本になったもの。 著者は毎日新聞記者の萩尾信也氏です。 すべて、萩尾氏が震災後に三陸で生活しながら被災地や被災者を取材した、震災の記録。2013/02/07