内容説明
異色の新人デビュー!遊郭の華と陰を描く!
江戸の遊郭――吉原。外道菩薩と呼ばれる美貌の青年・弥太郎には、”死んだ人間が見える”という噂があった。ある日、奇妙な来客を受けた弥太郎は、一人の元遊女の不審な死について調べ始める。その矢先、彼が廓内で唯一気にかける少女に異変が起きて!? 胸に秘めた恋心、愛憎入り混じる肉親への情。吉原に生きる者達が抱える、心の闇に「鬼」が憑く――。死者を映す瞳が暴く、鬼の正体とは? 美しき吉原幻想鬼譚!
※この作品は底本と同じクオリティのイラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
43
私のファースト吉原は映画版の『さくらん』でした。だから、作者さんの言う、『赤』や『蝶』のイメージはすごくよくわかります。私にとっても『朱い』ので。閉じ込める格子窓。大門。提灯。長襦袢。目元と口元に挿した紅。当然のようにあかくあかく、選ばれた色。炎も、桜も、夜でさえも。吉原ではみんなあかい。そこに生きて死んだ女の血や、情念や、絶望に、染まっているからだろうか。夜菊ねえさんが可愛い。きゃらきゃらしててちょっと緩いところもあるけれど、いつでもねえさんでいる事には必死なのね。しょっぱいおにぎり可愛いぞ。2012/07/16
むつぞー
8
少女向けラノベには珍しい江戸のしかも遊郭を舞台にしたもの。 この設定だけで興味をもって購入しましたが、思っていた以上によかったです。 事件の謎解きとかの物足りなさ、末葉の禿にしてはちょっと思う部分があったりとか、おしい思う部分もありますが、吉原の儚さと切なさ哀しさという雰囲気があって、これはもっと読んでみたいと思います。 それに弥太郎自身の謎とか、いろいろチラつかせているだけなので、ここが気になりますしね。 続編待ってます。2012/02/01
杏
8
まずはじめに「タイトル詐欺だ!w」と思いましたが、読み応えのある小説でした。ルルル文庫っぽいかと聞かれると、迷わず「ちょっと違う!w」と、声を大にする感じ。わたしは好きだったので、今後もがんばってほしいです。最初は長文が続いたり、指示語が多い文章が気になったけど、だんだん癖になるのが良かったです。美しくて華やかだけど、儚くて惨い世界が滲み出てました。欲を言えば、ヒロインが幼すぎるせいか、吉原舞台なのに甘さとエロさが圧倒的に欠落してるのが何とも。面白いけど、タイトル詐欺w 八重垣さんが大好きでしたw2011/07/07
ひじきわかめ
8
時代物・姫嫁じゃない・恋愛を主軸にもってきていない、と、最近の少女小説では、異色なタイプ。これがデビュー作らしいけど、舞台やキャラの描写がぶれていないので、唐突感などもなく、完成度は高いと感じた。作者がこの路線なら、少女向けで大丈夫かな、という心配はあるけど、次の作品が出たら買いたい。2011/06/26
みかづき
6
面白かったです。主人公がすごく魅力的でした。ラノベではあまり舞台にならない色街吉原ですが、らしさたっぷりでひたれました。華やかさもなまめかしさも苦界のつらさもなんとも鮮やか。台詞回しやあちこちにちりばめられた江戸や吉原の文化がいちいち素敵。尾高がお国訛りに戻った瞬間が、なぜだか一番色気を感じました。弥太郎の出生とか、まだ気になることはあったので、続編がないのが至極残念です。それにしてもルルル文庫っぽくなかった…少女系のなかではコバルト文庫っぽいけど、一般でも不思議のない小説でした。2012/05/13