内容説明
結ばれたいけど結ばれたくない!?怒濤の恋。
高校生、郁には何かの拍子に「誰かを殺しそうな顔」をしてしまう瞬間がある。
それが新興宗教の教祖をしている父親と関連があるのかどうかは分からない…郁は長年、父親とは離れて暮らし、その存在を「ないもの」としているが、幼馴染みの女子高生・常磐の母親がその宗教に傾倒していることに対し、自分がどういう存在であるのかを告げられない。何も知らないで郁に接してくる常磐に複雑な感情を抱いてしまう郁。一方でクラスメイトの謎めいた占い少女・七瀬がなぜか、郁にアプローチをしかけてくるが、実は七瀬は、郁とその父親に関しての秘密を知っているらしく……父親の宗教団体の幹部である教師や、七瀬を敵視するクラスメイトなどが絡み、郁の高校生活は混乱の様相をきたす。
そして…郁にとって最も気になる存在・常磐との関係も泥沼化していき…
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KEI
11
購入。わー何とも言えない(苦笑) 帯で書かれてることがあてにならないとはまさにこのことだろう。もう少し健全な学園もの、甘酸っぱい三角関係とか期待してたのに、これがガガガ文庫だということを忘れていた。底なし沼にはまったような、身動きとれない中、ネズミに末端から食べられていくような、生きながらにして殺されるような感じに目が離せなかった。2011/03/03
CCC
10
スクールカーストと宗教がメインテーマ。父親が神(に類するポジション)という設定は上手いと思った。父殺しと神殺しが同時に出来る。人間関係の距離感の描写も巧みで、作者の感覚が光っていた。宗教要素に関しては依存心にウェイトがかかっていると感じた。むしろ依存心がテーマなのかもしれない。しかし当人意識的には依存する側だが、他人の依存心を使って支配する側に立っているようなキャラが多いのが皮肉だ。どう個人の問題化しようと、宗教はその支配装置性から逃れられないと言っているような気もしたが、それはさすがに穿ち過ぎか。2017/06/13
ごぅ。
8
ざっくりとえぐってきますわ。。信じる者の違い思いの違い、行き違いすれ違い勘違い、、どれも致命的なものとなりうる恐怖。。。いじめだったり弱者の在り方が面白いと感じました。。。マル。。。2012/07/07
マギカ鍋
7
人を殺したようなキレ顔になる少年は宗教にはまる母を持つ少女の急な好意に戸惑うが少年には少女に明かせぬ秘密が。人は何かに執着し弱者は何かに頼らずにはいられず、そうでなくても互いに支え合い組織を作る。夢を叶える時、同じ努力と才能がぶつかるならば支える組織は優位を授けるかもしれず一連の姿は宗教に通じる。また幸運の喜びと不運の憎しみの双方にも神の存在が見え隠れし逃れられはしない。それは生まれた過去を変えられず死にゆく未来を変えられない人が神に踊らされる姿。せめてもの抵抗は世間の誤認や同情を利用するしたたかさ。2013/01/02
alafish
7
終盤手前でダレかかった空気を一蹴してしまうラストは圧巻。生々しい、臨場感のある筆致に引っ張られて読み終えた。テーマは信仰だろうか。幼馴染との淡い恋愛模様から一転、忍び寄る黒い好意。スクールカーストもあり、宗教あり、恋愛ありと、どこまでも黒く染まりそうな物語。だが、江波作品のラストに共通の、絶望の隙間から見える光のような何かのお陰で、なんとなくだが、読後感が爽やかになる。結果的に救いはどこにもない気もするが。2012/09/02
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