内容説明
人の心に根深く潜む棘とは何かを、平和への願いもこめながら描く問題小説。
戦争で亡くなった先妻と似ている長男の嫁・夕起子を通して亡き妻を思う康郎。そして夕起子も康郎に理想の男を感じている……。
若い嫁と大学教授の義父との「精神的交流」を元に、人間の心の棘とは何か、愛とは何かを描きながら、戦争問題を真正面から取り上げた作品。
「三浦綾子電子全集」付録として、三浦綾子記念文学館初代館長・高野斗志美氏の「登場人物を読む/康郎――『青い棘』」を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
142
なるほど、タイトルの'棘'はそういう意味だったのか。とある一家族の物語で、とにかく淡々と話が進んでいきます。ビックリするくらい平凡かもしれませんが、だからこそリアリティーがあるんだと思います。特に「康郎」と「夕起子」の距離間、抜群です。「なぎさ」のダンナ「賢介」はどうしようもないダメ人間でしたが、誰が一番マトモって「富久江」かもしれません。本作を読むといかに男性がダメな感じなのか、よく伝わります。家族の絆、夫婦の絆、兄妹の絆それぞれのあり方が本当に様々でイッキ読みでした。今読んでも違和感全くなしでした。2021/06/07
Smileえっちゃん
61
戦争中に妻を亡くした歴史学教授康郎、息子の嫁夕起子の中に妻を重ねて見てしまう。又夕起子も心の隅に、夫より義父に男としての理想を感じている。二人の姿にハラハラ。娘の渚の夫の不貞など、日々の生活を通して「心の棘」とは何か問いかけている。人間誰も、口には出さなくても棘を含んでいる。衝撃的だったのは康郎の公演だった。日本人は中国をはじめアジアの人々を殺してきた事。中国人の強制連行事件。日本人が中国侵略の一環として行った犯罪。強制労働で死に至らしめた罪なき命。殉難民88名。過去を引きづっていては平和に繋がらないが2020/12/14
かよぴー
19
戦中に亡くなった妻に、面影が似て居る嫁。その嫁は、舅に理想の男を描いていた。2人の危うい関係にハラハラしながら、戦争の是非、結婚、夫婦の関係を 問うた問題作。「人間は誰しも底意地の悪いものだ。 外には出さなくても棘を含んで生きている」重い言葉ですね。 2018/10/08
なつ
13
みんな棘だらけだ、と思った。人が人知れず持ってる奥底の棘を露にしていくような1冊。戦争、愛するということ、結婚。語られているテーマはあるけれど、それらを通して「棘」は特別なものじゃなくて、きっと誰にでもあるんだろうなと思った。2014/09/02
りん
12
あっという間に読み終えてしまった。三浦綾子さんは、なぜこんなにも人間の醜悪さと美しさを巧みに書くことができるのでしょうか。三浦綾子さんの小説を読むといつも、自分が経験したことのある感情が乏しいことに気づかされます。人を憎むとか赦すとか、、。主人公康郎と、その息子の妻夕起子が心の底で次第に惹かれ合っていくのですが、互いにその想いを打ち明けることなく、寧ろそんな自分を内省しながら生きていく二人がとても美しいと思いました。人間が人間らしく生きることと戦争がテーマの素晴らしい作品でした。2020/08/29
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