内容説明
実在の市井の人物をモデルに、気骨あふれる半生を描いた痛快長編。
著者が、私心のないその生き方に関心を持ち、実在の市井の人物・鈴木新吉を主人公にして、小説を書いた。「七年の歳月をかけ祈りをこめて描く初の書下ろし」(初版・帯より)。
著者夫妻がはじめて持った小さな二階建ての家を建てたクリスチャンの棟梁は、気骨あふれる痛快な男だった。著者には珍しく、男っぽい語り口で綴った貴重な一作。
「三浦綾子電子全集」付録として、著者が文庫情報誌『講談社文庫 IN POCKET』に載せたエッセイを収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
36
珍し、続けて数冊読みの途中で本閉じのあとのこちら、昭和の売れっ子作家・三浦女史の手練の技に脱帽。戦前から戦中にかけての男・新吉、一本どっこの生き方を堪能。キリスト教者としての主人公も良いのだが、それ以上に彼自身の優れた人間力の描き方、さすがの三浦さん。2021/02/13
ねこまんま
18
三浦氏の著書の中では圧倒的に良い読後感。スッキリ、スカッと気持ちよい。何をも、誰をも恐れずに、まっすぐに向き合い、正義と道理を声に出すなんて、本当に彼は人間だったんだろうか?それにしてもまあ、男は男だというだけで偉かった時代だけあって、女の苦労は壮絶でだわ。 2020/03/06
橘
11
面白かったです。主人公の新さんが気持ちの良い人物で、周りの変な人たちにも負けない姿勢が良かったです。しかし軍隊でこんなことしたら実際には大変だっただろうな。キリスト教に更に興味がわきました。2014/08/14
ろこぽん
9
人間何に従うべきか、その要をはっきりさせておけば、その生き方は自ら定まる。神は正しく清い。神は愛の方。その神に従い、人を恐れないことは何よりも大事。 心に一本の柱を持った人間はカッコイイです。あっしはという語り口もおもしろい。2021/07/06
うりぼう
6
自分の足で立つとは、信念を曲げないこと、でも、その信念をどう腹に据えるかが、難しい。2008/05/30