内容説明
記憶を失った日本人少年Kは、量子的に交差した世界から訪れた変幻自在の自律機械、アーサー、アイザック、ボブの三人組にスカウトされ、危険な旅を続けている。旅の目的は、人知れず実用化されている量子コンピュータを探し当てることだと言うのだが……。すべての背後でうごめく人工知性〈館長〉の思惑とは。疾走感あふれる近未来エスピオナージュにして、想像することの意味を問う本格SF。応募総数618作から大森望・日下三蔵・飛浩隆が選出した、SF愛に満ちた第3回創元SF短編賞受賞作。選評付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里愛乍
39
伴名練さんの短編が読みたくて借りた図書館本。短編中編ながらどれも読み応えがあったと思います。意識を持たない身体と身体を持たない意識が共存する世界、この追及は考察はどこまでも続くんだろうな、ヒトが想像力を消失しない限り、生きている限り。こういうジャンルの本をどうしてもっと脳が新鮮だった時期に読まなかったのか、あの頃素通りしてしまった自分が惜しくて堪りません。2015/10/03
Tadashi_N
27
SFの懐の広さに驚く。2020/03/26
まつじん
27
1年分を1日で読むには無理がありますな。小松左京さんのご冥福を祈ります。それにしても伊藤計劃さんのトリビュートがこんなにも面白いのは、ホンマ惜しい人を亡くしたんだなぁ…2012/08/13
かとめくん
24
年刊日本SF傑作選でなぜか読み落としていたこの1冊。やっと読めました。2011年版のため、3.11を多かれ少なかれ意識した作品が多いように感じました。コロナ禍の今読んで、人が災害に見舞われた時に何を思うのか改めて考えさせられました。それと、はやぶさの帰還、小松左京のご逝去。作品として印象的だったのは、「神様 2011」、既読だったけど「いま集合的無意識を、」、〈すべての夢|果てる地で〉2022/03/09
キョウラン
23
印象的なのは伴名練の「美亜羽へ贈る拳銃」。美亜羽が伊藤計劃の「ハーモニー」のミァハとのつながりがあって面白い。あとは第3回創元SF短編賞受賞作、理山貞二の作品〈すべての夢|果てる地で〉。これはすごい。書評で大森望氏が述べてるとおりイーガンの「ルミナス」+山田正紀の「エイダ」。理山貞二の次回作を早く読みたい!かっこいいSF、こういうSFを読みたかったんだよ!というくらい〈すべての夢|果てる地で〉良かったなあ、タイトルもいい。2012/07/12