内容説明
明治42年に実際に起こった鉄道事故を元にした人間のあり方と愛と信仰の物語。三浦綾子の代表作であり、多くのファンに愛される大ベストセラー作品!
東京で、父と厳格な祖母に育てられた信夫は、祖母の死後、キリスト教徒であったために家を出されていた母親とも暮らすようになる。母と妹、そして父までもが信じるキリスト教に違和感を抱きながらも、まっすぐに成長していく信夫。やがて、少年時代からの友人・吉川に誘われ北海道に渡り、鉄道会社で働くようになる。この地で信仰に目覚めた信夫は自らも洗礼を受け、吉川の妹・ふじ子との結婚を決意する。結納のために汽車で札幌に向かうが、塩狩峠の頂上にさしかかったとき、信夫の乗った客車が突然汽車から離れ、暴走を始めた……。
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」などを収録!
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ゆうの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
589
カトリックの神髄は「沈黙(遠藤周作)」、プロテスタントの神髄は「塩狩峠(本書)」ということでチャレンジしました。テンポがとても良くページを捲る手が止まりません。中弛みしそうなタイミングで主人公を成長させ、それに合わせて神学的要素を増やしていく技法には感服しました。良い意味で主人公と一緒に成長しているような感覚に陥ります、つまり代理体験を自然とさせられます。本書を通じて3か所で目を拭く羽目になりましたが、感動や美談だけではなく、哲学書でもあると思いました。良書ではないかと思います。2022/12/03
遥かなる想い
448
自らの命と引き換えに、大勢の乗客を救った 鉄道職員永野信夫の話。実話に基づくこの小説は涙せずには読めなかった記憶がある。三浦綾子がつむぐ小説は『氷点』を始め心に痛い話が多く、心を洗いたい時に読んでいた…2004/01/01
ちくわ
445
新潮の100冊に毎年選出されており興味が湧き読む。前半は信夫の半生だが、各話が独立した寓話のようで教訓に溢れている。後半の北海道編…自分はすぐ泣いちゃう(笑)ので少しずつ頁を捲る。愛、信仰、献身、そして永遠の別れ…大号泣!実話がモチーフなので降水量三倍だった。 本作をキリスト教賛美のプロパガンダだ、ご都合主義だと揶揄するのは簡単だが、禁断の側面を持つ宗教や信仰心を文学として美しく織り込めているのは凄い。一方でキリスト教の精神は『愛』なのに、欧米諸国は何故戦争を繰り返すのか?世の中はそう単純では無いようだ。2024/09/12
青乃108号
428
20年ぶりの再読、のはずだったが。読んでも読んでも内容を全く憶えていない事に驚いた。何しろ確か女性が主人公の話だったはず…ぐらいにしか記憶に残っておらず、そもそもそれすら間違いであって。読み終えて今、俺は何と愚かだったのだろう、と哀しくなった。これほどの作品を読みながら何も憶えていなかったとは。兎も角、これは読むべき本だ。魂が揺さぶられた思いである。読み終えた今、人生観が変わった。今さら、この歳になって恥ずべき事ではあるが。いやいやまだ間に合うかも知れん。これからこれから。2026/03/11
mapion
421
前半は主人公の生い立ちが書かれ、数々のエピソードは古臭くはあるが正しく道徳的な匂いがして、今時の小説ではあまり読む事のない話に触れることになる。後半友人兄妹のいる北海道に行ってからは、主人公の原型である日本基督教団の長野政雄氏の事績に沿う話が多く続く。キリスト教者の作者が信者向けの媒体で発表したもののようですが、信者でなくても感じる事の多い小説と思います。長年「新潮文庫の100冊」に選ばれ続けている、人権学習や道徳の教材にも使われることのある小説です。2026/02/22




