内容説明
明治42年に実際に起こった鉄道事故を元にした人間のあり方と愛と信仰の物語。三浦綾子の代表作であり、多くのファンに愛される大ベストセラー作品!
東京で、父と厳格な祖母に育てられた信夫は、祖母の死後、キリスト教徒であったために家を出されていた母親とも暮らすようになる。母と妹、そして父までもが信じるキリスト教に違和感を抱きながらも、まっすぐに成長していく信夫。やがて、少年時代からの友人・吉川に誘われ北海道に渡り、鉄道会社で働くようになる。この地で信仰に目覚めた信夫は自らも洗礼を受け、吉川の妹・ふじ子との結婚を決意する。結納のために汽車で札幌に向かうが、塩狩峠の頂上にさしかかったとき、信夫の乗った客車が突然汽車から離れ、暴走を始めた……。
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」などを収録!
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
ゆうの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
574
カトリックの神髄は「沈黙(遠藤周作)」、プロテスタントの神髄は「塩狩峠(本書)」ということでチャレンジしました。テンポがとても良くページを捲る手が止まりません。中弛みしそうなタイミングで主人公を成長させ、それに合わせて神学的要素を増やしていく技法には感服しました。良い意味で主人公と一緒に成長しているような感覚に陥ります、つまり代理体験を自然とさせられます。本書を通じて3か所で目を拭く羽目になりましたが、感動や美談だけではなく、哲学書でもあると思いました。良書ではないかと思います。2022/12/03
遥かなる想い
447
自らの命と引き換えに、大勢の乗客を救った 鉄道職員永野信夫の話。実話に基づくこの小説は涙せずには読めなかった記憶がある。三浦綾子がつむぐ小説は『氷点』を始め心に痛い話が多く、心を洗いたい時に読んでいた…2004/01/01
ちくわ
426
新潮の100冊に毎年選出されており興味が湧き読む。前半は信夫の半生だが、各話が独立した寓話のようで教訓に溢れている。後半の北海道編…自分はすぐ泣いちゃう(笑)ので少しずつ頁を捲る。愛、信仰、献身、そして永遠の別れ…大号泣!実話がモチーフなので降水量三倍だった。 本作をキリスト教賛美のプロパガンダだ、ご都合主義だと揶揄するのは簡単だが、禁断の側面を持つ宗教や信仰心を文学として美しく織り込めているのは凄い。一方でキリスト教の精神は『愛』なのに、欧米諸国は何故戦争を繰り返すのか?世の中はそう単純では無いようだ。2024/09/12
Nobu A
347
三浦綾子著書5冊目。68年刊行。敬虔なクリスチャン作家だからこそ描ける小説。明治42年にタイトルの場所で起きた鉄道事故で殉職した実在の人物、長野政雄をモデルに構成された物語。私自身、自称無神論者(本来神社参拝はおろかクリスマスも祝わない人を指すから似非論者)だが、社会は人と人が寄り添って生活している世界だとは認識している。良好な人間関係構築の大切さ、特に苦難に陥った時にどう振舞うべきかを本書は教えてくる。年を取ったせいか、キリスト教に憧憬の念を抱いた。と言うか、他者を理解するのに宗教は避けて通れない。2025/02/22
荒野の狼
287
大変読みやすく、半日ほどで読める本です。キリスト教の本と評価する人が多いですが、物語の大半は、主人公の少年時代から大人になるまでの心身の成長の物語に恋愛、当時の時代背景、宗教家および身体障害者への差別問題などが巧みに織り込まれて楽しく読めます。ですから、物語の展開と結末は、まったく知らないで読まれることをおすすめします。多くの書評と、本のカバーと解説(アマゾンの書評にも)に作品の結末が書かれていますので、注意が必要です。2007/07/11
-
- 電子書籍
- 黒幕の幼い後援者【タテヨミ】第40話 …
-
- 電子書籍
- 数理モデルはなぜ現実世界を語れないのか…
-
- 電子書籍
- 暗闇のファンタジー 2巻【分冊】 2巻…
-
- 電子書籍
- 5週間の仮面夫婦【分冊】 1巻 ハーレ…




