内容説明
堺の名家に生まれ、豊臣秀吉に取り立てられ、関ヶ原合戦で敗れて刑死した、キリシタン大名小西行長にはめられていた“鉄の首枷”とは。無謀な朝鮮侵攻において秀吉を裏切り、同僚加藤清正を落とし入れてまで和平工作を重ねた行長の、面従腹背の生涯の謎に迫る傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
44
知らなかったことばかりだった。小説のつもりで図書館から借りてきて読んだら、伝記小説ではなく伝記だったので読み応え大だった。2014/09/07
さっと
7
白石一郎『海将』では戦国時代ならではの痛快な出世物語として読んだ小西行長だが、こちらでは秀吉に見出されながらも町人出身やキリシタンであるがゆえの負い目、僻み、しがらみを抱えての生涯、とくに秀吉の晩節を汚した朝鮮出兵では侵略の先兵をつとめながらも和平工作に奔走する面従腹背の二重生活者の姿が描かれる。日本側の史料は少なく、宣教師が本国に伝えたものや侵略された側の描く史料によって足跡をたどり、その心理まで迫る。謎多きキリシタン大名は、幼い頃に受洗し神とどう向き合ったか。作者自身と重ねての丹念な追及だったと思う。2017/11/12
中村禎史
2
小説と言うより、本格的な小西行長の評伝。注こそついていないが、きちんとした歴史書と言えるのではないか。一次史料や学術論文にあたりながら、秀吉の朝鮮出兵の先兵を務めた行長の40年余の生涯を、特にその時々の行長の心情推測を中心ンとして、描いている。秀吉を瞞着し続けた、器の小さな大名と言う印象を持っていたが、その死に向けて偉大な信仰者へと成長していったのではないか、と考えさせられる。「沈黙」「海と毒薬」等のような心にドーンと響く創作ではないが面白かった。2015/07/05
坂田 哲朗
2
出張の移動時間に少しづつ読んで読了。キリシタン大名としては高山右近のようには高潔でなく、武将としては加藤清正のようには勇猛でなく、官僚としては石田三成のようには怜悧でない。その人の最期に残した「身に降りかかった不運は、取りもなおさず神の与えたもうた恩恵に由来すると考え、主に限りない感謝を捧げている」は悩み苦しんだ末の本心からの言葉だと思う。英雄と讃えられている人ではないけれどこの方の苦悩に満ちた人生は、本当のところ自分は何を大切にしていかなければならないのかと問いかけてくれます。2014/10/16
さるぼぼキング
2
小西行長の生涯にスポットを当てるような本は珍しく、その意味では新鮮で面白く、かつ著者の推測であろう部分にも特段の違和感などは感じずに読めた。 ただ人間行長、キリスト信者行長にたいする共感はあっても万単位の人々を率いて国策遂行にあたる将としての小西行長に対しては失望や怒りしか湧いてこない。 国家として行動する時に一個人の主義主張を国策に優先させることがどれほど危険なものかが分かる。 西郷隆盛は小人の器の人物に大役を与えることは避けなければならないというようなことを言っていたが、なるほどなと思う。2014/04/18
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