内容説明
舞台は、広島県の南西部、瀬戸内海に面した港の町、呉市。主人公の十五歳の少年、水島潤には不思議な力が備わっている。死んだ人たちが見えたり、その人たちの思いを感じ取ったり(キャッチ)することできるのだ。夏休みのある日、潤は第二次世界大戦中の呉空襲で命を失った十五歳の少女、「陶子」と出会う……。
リアルな空襲の描写と、現在の呉のまちの風景をふんだんに織り交ぜながら、死んでいったものたちの思い、生きているものたちの思い、そして、人々が暮らすまちの中に残る思いを描いていく。
著者の故郷でもある風光明媚な港町「呉」を舞台に繰り広げる渾身の作品。