内容説明
ソクラテスを裁いた古代アテナイの市民。無罪から一転して死刑判決へと心変りした8人の陪審員たちがこの小説の主人公。民主制度のもとでソクラテスの考えを押し進めると全体主義を孕む危険性があった。彼を裁いた人間の中には、誇り高い抵抗運動の闘士アニュトスがいた。が、彼は陪審員を買収した第一号だ。社会は、善と悪と堕落が切れ目なく結びついている人間で充満していて、その人間はある瞬間にどれが善で悪かを決めなければならない。現代社会の混迷を撃つ、古い未来の長編。
目次
第一部 鳥とネズミとカエルと矢と
第二部 裁判
第三部 死まで
作者自身による短いあとがき