内容説明
船戸与一衝撃のデビュー作堂々刊行。
1977年、非合法員として世界を舞台に暗躍する神代恒彦のもとに、メキシコ内務省保安局から1968年に起こった学生反乱の実質的指導者の四人を始末するよう依頼が入る。その見返りとして高額の報酬を受け取るはずだった神代だが、仲間のベトナム人、グエン・タン・ミンの裏切りに遭い、まんまと金を持ち逃げされてしまう。グエンを捜し出し報酬を取り戻そうとするものの、神代の行く手を、何者かが次々と阻んでいく。最初は、全てグエンの仕組んだ罠だと思っていた神代だが、実は、強大な組織が自分の命を狙っていることがわかり・・・・・。神代は、過去にいったい何をしたのか?なぜ命を狙われているのか?最大にして最高のスケールで描く船戸与一処女作。巻末に、著者特別寄稿『デビュウ事情』を掲載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょちょ
25
デビュー作だが、さすがに船戸与一だ! 面白い。 政府機関などから依頼されて人殺しを行う「非合法員」が主人公。 ある仕事を終えた後、一緒に仕事をしていたベトナム人に裏切られ、彼を追い復讐しようとする。 また、謎の組織から狙われるが、狙われる理由は主人公は全く思い当たらない。 誰が自分を殺そうとしているのか・・・。 最後まで謎は尽きないし、途中、個性的な人物もそれぞれの人生をおくる事になる。 終わりは良い意味で切なさが残る。 この人の冒険小説は、誰かに似ているようでそれでもないところがある。 ★★★★ 2018/09/01
金吾
20
誰が味方かわからない状態で次々と登場人物が死んでいきます。ラストがあっけない気がしましたが、話のテンポがいいため読みやすい作品です。2021/12/02
浦
12
船戸与一デビュー作。勢いがすごい。余りに人が死にすぎて、登場人物がめちゃくちゃ多い。いったい一冊に何冊分の展開が詰め込まれているのか。そして、いつも変わらぬのは主人公自身の生の否定。この年になると、これが意外と心に沁みるのだ。 2019/12/13
泉 勇一郎
4
この人の文章はデビュー当時にすでに確立されていたんだなぁ…と思わされる内容だった。話としてはつまらなかった。人と場面が変わりすぎ。誰が誰だかわからなくなったし、ある意味行き当たりばったりの感じが強いよな。55点。2016/06/06
ぼーじょみ
4
まさにデビュー作に相応しい「若き船戸の作品」って感じ。文体も人物造形も荒削りな部分が目立つけど、それさえも作品のエネルギーとして飲み込んでいるような。にしても次から次へと殺す殺す殺す。何人死んだよ?ノンストップ感は船戸作品群の中でも恐らく最高峰。叛アメリカ史はネタバレ本だけど(小声)、先に読んどくべきかも2016/01/21