内容説明
幕末の伊那に現れた出自不詳の俳人井月。その後家も持たずに約30年の半生を酒を糧に過ごした。俳句・書・高い学識を身につけながら、なぜ漂泊の生涯を送ったのか。知られざる素顔を探る唯一の入門書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ne_viderem
8
井上井月。幕末から明治初期にかけて、放浪しながら句を詠み、お酒を愛してやまず、最後は行き倒れで死んだという無頼なおじさん。師走の田んぼのなかで襤褸をまとったうんこまみれの虫の息で見つかり、しかし村人も扱いかね、戸板に乗せられ隣村まで持っていかれ、さらにそこでも寒空のもと放置(ほとんどヘラクレイトス状態)。やっと弟子にひきとられなんとか布団で死ねた。弟子は辞世の句を求めるが井月はいやいやと首を振る。焼酎を飲ませ筆を握らせ、ようやく書いた句が「何処やらに鶴の声きく霞かな」。素敵すぎやしないか。2018/11/23
conegi
3
つげ義春の無能の人を読んで以来、微妙に興味のあった井上井月。仙人然とした世捨て人というイメージがあったのだが、句を見ると俗っぽい作も多くて意外だった。活動が江戸末期から明治初期だけあり、近代的な句も多いようで、時代の連続性を感じる。本の後半は句の紹介と解説で、個人的にはこちらの方が面白かった。「時鳥 酒だ 四の五はいわさぬぞ」「どこやらに 鶴の声聞く 霞かな」「落栗の 座を定めるや 窪だまり」「鬼灯を 上手にならす 靨かな」「秋たつや 声に力を いれる蝉」あたりがお気に入り。俳句は声に出して読みたくなる。2023/01/14
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