内容説明
文豪・谷崎潤一郎に愛され、当時世間の羨望の的になった、妻・松子。「春琴抄」や「細雪」のモデルにもなった彼女は、谷崎の理想の女性であり続けようとした。その生涯は、本当に幸せだったのだろうか?愛と芸術の狭間の煩悩を鋭く描く、恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
84
人間ってのはつくづく怖い生き物だ。なかんずく女は怖い。くわばらくわばら。と、謂いつつ、谷崎をもう一度読み直してみようかと思う。私の中にも魔物が棲むのか・・・2015/02/06
Mie Kaneko
0
常に小説のネタとして女性を求める谷崎をそれでも愛する松子の情の深さが時に悲しくもあり強さも感じたり。素敵な女性だったのだろうとおもいます。春の京都の夜桜見物の場面はまさに細雪の世界。もう一度細雪を読み返してみようと思います。2017/02/09
みなみ
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谷崎潤一郎と、その妻・松子の物語。鳥越さんの作品は夏目漱石の妻に続いて読んだが、夏目漱石や谷崎潤一郎の作品への愛を感じられる。文体の難しさから、谷崎作品をなんとなく避けてきたけど、これを機に色々読んでみようかと。「細雪」は昔読んだけど、松子との物語を思いながら読むと違って見えそう。偉大な夫を支える妻は素晴らしい。並大抵の努力ではないのだろうけど。羨望の的になった松子ならではの苦悩はよくわかった。美の秘訣も聞いてみたい。2016/11/25
Noelle
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小谷野淳氏の谷崎伝とは全く趣きが違って、松子さんの心中を主軸にした女性ならではの、谷崎夫婦の小説だった。現実は他人には窺い知れないところではあろうが、複雑な家族関係の暮らし方の背後にある男女の情念がふつふつと、松子さんの思いの重さを底流にとてもよく描かれた小説だった。著者とは違って、女性の賛美の的だったという生身の松子さんを見たことがなかったので、こんなにも世人を騒がせる美貌の人を見たかったな〜。2015/10/18
まひろん
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林真理子を彷彿とさせる題材の無駄遣い感。最後の方が特に雑。2024/01/18