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内容説明
キリスト教には合理主義と神秘主義の二つの極がある。二千年におよぶキリスト教の歴史は、さながら理性と感性のはざまを揺れ動く振り子のようであった。この構図は近代以降も変わらない。宗教改革以後、むしろ振り子の振幅はますます大きくなった。イエズス会による布教活動、神秘主義の興隆、悪魔憑き、魔女狩りなど、熱狂的な信仰が西欧近代の宗教的エネルギーを吸収した。本書では、キリスト教における神秘主義の思想を、「エクスタシー」という視点から読み解いていく。ギリシア時代に水源をもち、ヨーロッパ思想の伏流水であるカトリック神秘神学を俯瞰し、キリスト教の本質に肉薄する危険な書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
89
タイトルに惹かれて手に取りました。本書は、いくつかの聖女の逸話を混じえながら、キリスト教における神秘主義の思想を「エクスタシー」という視点から読み解いたもの。思っていた内容と少し違ったけれど、とても興味深く読みました。特に第四章の精神病理の観点から考察した「エクスタシー」が面白く、もう少し掘り下げて欲しかった。「感性が優越感したとき、その極点にエクスタシーという形態がある。それは自分を捨て去って、自分の外にある途方もなく大きなもの(キリスト教であればそれは神)とつながろうとする究極の達成にほかならない」2016/10/04
さえきかずひこ
7
カトリック教会が取り込んでいった精神病者たちを、エクスタシーというキーワードで辿っていく。彼らのエクスタシーの経験から、貪欲に世人を取り込んできたカトリック教会の姿を垣間見れる一冊。2017/01/19
目黒乱
6
エクスタシーとは外に出るということらしい。対義語は内にこもるだろうか。僕にはなかなかむずかしそうだ。2022/01/31
sk
4
キリスト教神秘主義をエクスタシーの観点から解説。面白かった。2019/01/03
左手爆弾
3
「エクスタシー」って別にエッチな言葉じゃないでしょ。そう思っていたのだが、読書メーターでこの本を登録するために「エクスタシー」で検索かけたら、エッチな本がでてきた出てきた。わお!それはともかく、エクスタシーとは「外に立つ」ことを原義とし、神と人間が自らの領分を捨て、外に立つことで現れる交わりがその本質である。神秘とは、一度外界との関係を閉ざす、まさにそのことによって外界を越えたものと繋がる体験。それをいくつかの聖女のエピソードと共に語る。内容の密度はそれほどない。あと、キレの悪いおやじギャグは不要では。2016/04/03