内容説明
紀彦(のりひこ)にとって相田家はごく普通の家庭だったが、両親は変わった人だった。母は整理収納に異常な情熱を傾け、孤独を愛す建築家の父はそんな母に感心していた。紀彦も結婚し子供ができる。やがて母が癌で亡くなり、父も看取りのあと自ら入った施設で亡くなる。その後、家のあちこちに母が隠したヘソクリが出現し……。限りなく私小説の姿を纏(まと)った告白の森ミステリィ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
39
淡々と描かれる相田家。カギかっこ、所謂、会話のない文章は本当に読むのに時間がかかってしまいました。「グッドバイ」=「ありがとう」なのかな? 2015/05/17
rio
33
整理整頓に異常な情熱を傾ける母、孤独を愛する建築家の父。息子の視点から描かれる私小説に近いある一家の物語。淡々と描かれる両親の生き様の中に人間性が見え隠れし、微笑ましくなったり悲しくなったり様々な気持ちにさせられました。喪失感と対になる解放感が印象的で、前向きに頑張ろうという気持ちになります。激しく訴えかれられるというより、静かに諭されるような1冊でした。2015/01/03
佐島楓
28
文章が読みにくかった。何度か行きつ戻りつしながら読み進めた。他人の家のことを読むのが、これほど疲れるとは・・・これは私の個人的な問題と体調が絡んでいるからだろう。森先生ごめんなさい。2015/01/09
神太郎
27
森さんもまた新しいジャンルにチャレンジしてるなぁとと思う次第。書き方はいつもの淡々とした感じなのだけど、家族というものをどう考えるか、年をとるってどういうことかを冷静に見るその姿勢はいつも通り。ただ、どこか感傷的な部分もあり。年老いてゆく親、いずれ年老いてゆく自分。なんとなくどうするかを考える。2024/03/12
ミーホ
26
2世代に渡る相田家のあれやこれやが淡々と綴られているお話。そんなストーリーのテンポに反して、こちらの感情はあっちにこっちに揺さぶられる。森先生の意志が反映されてるであろう、友彦の挙動に一喜一憂。まるで友彦の守護霊気取り(笑)年末の激務で心にゆとりがない時に読んじゃいけない本だったなぁーと読み終わってから気づく。似てるけど水柿くんシリーズの読了感とは全然違う。森先生の多面性の一部が見れたような気がしてなんだか嬉しい。2014/12/18