内容説明
脳手術の後遺症で記憶を新たに作れない脳障害患者H・Mが記憶の科学に残した遺産はいかに巨大だったか。長年治療にあたった医師自身が綴る、「医学史上最もよく研究された患者」の記録。映画化決定!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
23
ヘンリーさんの協力のおかげで記憶に関する科学が発展した訳だが、そもそもなんでそうなったのかとか、天に召されるやいなや、まわりが取った行動は、まぁ、分かるけど………ちょっとなー。2018/08/25
1039kuri
15
HMが受けた数々のテストの説明が難しすぎて、やや読み飛ばす。ロボトミーの手技なども、怖くてすこし読み飛ばす。そうやってあちこち飛ばしながらようやっと読了。読了と言えるのかどうか…。精神外科という言葉を初めて知った。今はない言葉だ。彼が手術を受けた1950年代は、てんかんの薬物による治療も、薬の副作用など格段に苦痛が多かったのだろうと思う。強い薬を飲み続けても発作は起こる。2016/04/17
ケニオミ
12
心理学を勉強すると必ず出てくるのが、長期記憶を保持できなくなったH・M氏の話です。重い癲癇を患っていたH・M氏はその症状を和らげるため、脳の海馬を摘出する外科的手術を受けました。幸い手術の目的は達成したのですが、H・M氏は短期記憶しか存在しない世界の住民になってしまったのです。その後の彼の生涯は、記憶に関する実験の被験者に常になってしまい、亡くなった後も、彼の脳は標本として記憶の解明に貢献し続けています。恐らくその手術のおかげで長生きできたH・M氏、ヘンリー・モレゾン氏の幸福は・・・。考えさせられました。2015/03/13
ソーシャ
7
記憶の科学の発展に多大な貢献をした健忘症患者H.Mの生涯を、長い間彼のそばにいた研究者が記憶の科学の発展史を交えつつ語った本。認知心理学の記憶のモデルが詳しく説明されていて、素養がないと結構きついのではという箇所もありますが、H.M氏の人柄や詳しい病状など様々なエピソードを知ることができる良書です。なお、最近出た解剖結果についての著者の論文は反映されていませんが、これから学界での議論になっていくことは間違いないでしょうね。2015/01/03
おだまん
5
内容は結構難しいけど、記憶が定着しないというのは人生にとって本当に辛いことだろうなぁと。自分を実験台にして医学(それ以外も)のために人生を捧げてくれたヘンリーに感謝です。2014/12/28