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内容説明
公共事業や福祉のバラマキは巨額の財政赤字を生み出したと言われ、それに代わる新自由主義政策もグローバル資本主義の犠牲者を増やし続けている。右派も左派も行き詰まったいま、日本経済が進むべき道はどこにあるのか。本書では、ケインズやハイエクを筆頭に、経済学の巨人たちの論に共通する「ある視点」を提示する。それはすなわち「リスク・決定・責任の一致が必要だ」という示唆であり、「予想が経済を動かす」という真実である。気鋭の理論経済学者が1970年代から現在に及ぶ経済論争の潮流と矛盾をとき明かす、知的興奮にあふれた1冊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
126
通俗的なステレオタイプ「ソ連は競争をしなかった。頑張った人に報いず頑張らない人と同じ給料だったから、誰も頑張らなくなった」は完全な嘘だったと知った。むしろアメリカ以上の競争社会だった。他にも様々なステレオタイプを壊してくれる。また、ルーカスの島モデルなど経済の門外漢にも解るように説明してくれる。absintheはリバタリアンなので全面的には受け入れられないが、大いに参考になった。ハイエクに対する誤解も改まった。
アベシ
30
難しかった。ケインズやハイエクの話かなと思っていたら、望ましい社会の在り方という視点から「リスク・決定・責任の一致」原則がしっかり守られている社会が望ましいとい話しになり、為政者はその枠組を作ることに徹して、情報があり、リスクと責任をとれるところが施政することが重要だと言っていたのかな?本来はインフレターゲットという政策も自民党ではなく社会民主勢力の政権でこそ実行すべき政策だとも。面白く読めたんだけど、一読ではまだ、理解が足りません。再読します。2019/09/29
さきん
20
「右」も「左」もそもそも勘違いしていた!公共投資の是非から市場の行方まで、経済の本質を見抜くロジックがわかる。「リスク・決定・責任」一致の新時代へ。とても良かった。他の人にも薦めたい。両派の誤解や共通点を洗いだし、今後の日本の経済を考える内容で、リスク、決定、責任の一致が肝になる。さすがに大きすぎるリスクは共同体で抱き抱える必要がある。それは経済の問題ではないと思う。しかし、通常のシステムとしての著者の提案には大きく賛同する。2015/10/06
Porco
19
難しくて理解できないところもありましたが、著者が理想とする社会には同意できました。しかし、インフレ目標政策が現にうまくいっていないことについては、どう説明するのか? 政策に対して国民が白けているからなのか? 5年前に発刊された本です。2019/12/18
おおにし
14
「リスク・決定・責任の一致」こそが経済学で言う効率的であるという説明に納得。行政サービスの効率性とは個々のニーズに出来るだけ合ったサービス供給がなされることであり、予算や人員の削減を意味するものではない。福祉サービスなどでは現場で従業者と利用者が事業意思決定に参加し自らのニーズを反映させることでリスク・決定・責任の一致が満たされ、効率的な運営ができるようになる。サービスを民営化しておきながら、行政が運営に口は出すが金はケチり挙句の果てに事故が起きたら現場に責任を取らせるというのが最悪ケース(有りがちな話)2015/08/10