中村修二劇場

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中村修二劇場

  • ISBN:9784822276461

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内容説明

2014年のノーベル物理学賞を受賞した日本発の青色発光ダイオード(LED)の発明。今回の受賞で大きな貢献をした人物が受賞者の一人、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授だ。
これほどまでに毀誉褒貶が激しいノーベル賞科学者は、ちょっと珍しい。中村教授は世界有数の研究者であると同時に、日本の社会や企業のあり方に、いわゆる「中村裁判」を通じて一石を投じてきた人物。その鋭い舌鋒ゆえに、人物像や研究業績への誤解も少なくない。
青色LEDの発明、企業技術者から米有名大学の教授への転身、かつての所属企業を相手取り発明対価を争った中村裁判と、常に世間とマスコミの耳目を集め続けてきた中村教授の行動は、まさに「劇場型」といえるだろう。ただ、その過程で様々な思惑が複雑に絡み合い、メディアのアイコンとして塗り固められた結果として、多くのことが語られれば語られるほど、「本当の中村修二」の姿は見えにくくなっていった。
それぞれの場面で吐露した中村教授の思い、専門記者の視点、世間の見方はどのようなものだったのか。そして、科学者最高の栄誉を獲得した教授は今、何を思っているのか。
本書は、20年以上にわたって追い続けてきた「中村修二劇場」の全幕をトレースし、地方企業の技術者だった中村教授がノーベル賞を受賞するまでを当時の報道を中心につづった全記録である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

それいゆ

69
中村裁判の全容がよく解りました。地裁判決は中村が受け取るべき相当の対価を604億円と認定し、200億円の支払いを日亜化学工業に命じました。控訴審では和解が勧告され、和解額は6億円。一審判決から100分の1に減額され、中村の完敗。本人は記者会見で「日本の司法は腐っている」と言ったそうですが、高裁は落とし所をあらかじめ決めていたのでしょう。日米の司法制度の違いも改めて理解することができました。「ノーベル賞は通過点、本命はレーザー照明」だそうです。わくわくする話です。2014/12/04

Willie the Wildcat

26
技術者としての誇り。拘りが道を拓く!”中村裁判”も、日本の技術者への問題提起。加えて、p型窒化ガリウム膜作製や、ダイオード輝度向上に至る過程の科学の意外性。日亜化学社創業者・小川氏への敬意の姿勢にも好感。いかつい表情が中村氏の印象を悪くしてるのかなぁ・・・。(笑)一方、技術者の評価。その基準と”形”。(中村氏を見込んだ)会社の投資と、成果との天秤。マスコミを含めた起業、研究への先入観の有無も検証の余地がある気がする。人材と技術の”流出”ではなく、育成と促進に焦点を当てた土壌が鍵。2014/12/18

くまこ

4
色々な記事を編集した本ではあるがなかなか面白かった。内容からは少し外れるが報道の在り方についても考えさせられた。その意味でこの本はフェアな書き方のように思う。2015/01/07

薦渕雅春

2
昨年 秋の新刊 、図書館で借りられた。中村さんの事を知ったのは 日経ビジネスの記事だった。1999年7月のものだったらしい。徳島の会社、日亜化学工業 という事と この時点で ノーベル物理学賞の有力候補 と言うので印象に残っていた。中村 氏 曰く、優れた研究者に成果を出させたかったら、放っておくのが一番。優秀な研究者は日本メーカーにも数多くいます 。でも、彼らの多くは会社からテーマを与えられている。楽だけど、それでは人と違うことはできない。本当に優れた研究成果を出すには、会社の言うことを聞いてはいけない。2015/04/30

Hajime Ito

1
日経エレクトロニクスや日経ビジネスが窒化ガリウムの青色LED研究を"異端のエンジニア・中村修二"が"たった一人の熱狂"でものにしてみせてから日亜化学との特許係争等ノーベル賞受賞するまでの軌跡を取材し続けており、それがこの1冊にまとめられています。中村さんが実現した青色LEDがなぜ凄いかも専門誌らしくコンパクトに解説されていたし日亜化学が中村氏の言い分を聞かず最初に提訴していたなど一般には知られていない経緯も書いてあったのでとても面白く読めました。確かに田中要次主演で連続ドラマ『中村修二』、いけますよ!2015/06/25

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