講談社学術文庫<br> マッハとニーチェ 世紀転換期思想史

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講談社学術文庫
マッハとニーチェ 世紀転換期思想史

  • 著者名:木田元【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2014/12発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062922661

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内容説明

現象学、ゲシュタルト心理学、アインシュタインの相対性理論、ウィーン学団の論理実証主義、ウィトゲンシュタインの後期思想、ケルゼンの実証法学など、すべてマッハの影響下に生まれた。ニーチェの最後期の思想「遠近法的展望」もマッハの「現象」の世界と重なる。まったく交流のなかった物理学者と古典文献学者は、同時期に同じような世界像を描き、それが、十九世紀から二十世紀への思想の中心となった。世紀転換期思想を解読。(講談社学術文庫)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シッダ@涅槃

15
木田元最終講義でエルンスト・マッハを知り手に取る。物理学では音速を越えた物体の撮影に成功したひと。この方が主にフッサールで有名な「現象学」に絶大な影響を与えたらしく手に取る。「現象学」、長年なんのことやらよく分からないでいた……。あと、フッサールは謹厳すぎる印象もあり(同じ理由でヘーゲルもよく知らない)遠ざかっていたのだ。言ってしまえば現象学とは現象の背後の実体(神、形而上学、因果律などなど)を否定する、という立場のようである。心惹かれるものがある。◆ニーチェの「力」と「生」の差異なども面白かった。2023/12/11

プラス3

10
「マッハ?、あのマッハと、ニーチェ?。何で!?」と気になったので読んでみた。哲学に関しては、新書やら入門書やらを何冊か読んで、素人に毛が生えた程度の人間だが、非常に楽しく読めた。マッハに関する記述が多めなのが良かったのかな。このマッハの思想もなかなか興味を引くものだったり。2016/04/27

Gokkey

8
感覚こそが在るものであり、この感覚が自我を形つくる。モノもこの感覚の投影として在るものに過ぎないので自我とそれ以外という区分は無意味になる。この19世紀の物理学者エルンスト・マッハの「感性的一元論」と形而上学的な背後世界を想定するプラトニズムに立ち向かうニーチェの思想との関連性に焦点が当てられる。これがフッサールやハイデガー、カッシーラー、そしてウィトゲンシュタインの思想展開の礎になっていく様を論じてゆく。現代の「アフォーダンス」にも通ずるマッハの考え方について哲学史という文脈の中で学ばせていただいた。2020/01/10

itosan04

8
巻末の年表を見て驚いた。物理学のマッハ、アインシュタイン、ロシア革命のレーニン、ウィトゲンシュタイン、ニーチェ、カッシーラーとかアドラーとか同時代の19世紀末の多種多様な人物を一覧にしてみると、全て局所的に集中的に出現したのがわかる。思想的にも有機的なつながりが凄く、学問の垣根を越えた関連性を普通では見えなかった視点で、マッハを中心軸に本書では書かれている。ツヴァイクの言う「昨日の世界」とは、これほど凄い時代だったとは。2016/10/24

Bevel

8
学の対象を基礎としての時空内での質点の力学に還元しようとする風潮の中で、マッハは、質点の力学を「感性的諸要素が相互に函数的に依存し連関し合う世界」に置き換える。切り取った諸要素の種類に対応する函数のみが学の成果であり、要素は基礎とは関係ない。他方で「世界」全体は、生理学的影響下におかれ、進化論に対応するものになる(思考経済説)。そののち、恒常的なものが要素に含み込まれ、要素は階層を含むゲシュタルト質と呼ばれるものになる。この階層こそが、フッサールの感覚的ヒュレーと志向的モルフェーの区別に対応する。2014/12/09

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