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内容説明
完全な顕微鏡を完成させた素人学者が、覗いてみた水滴の中に完璧な美をもつ女性を見出す「ダイヤモンドのレンズ」。ロボット物の古典として評価の高い「不思議屋」。独創的な才能を発揮し、ポーの後継者と呼ばれるオブライエンの幻想、神秘、奇想に富む8作を収録。怪奇幻想小説の新訳で大注目の南條竹則氏が、自身の思い出とシンクロする表題作を含め、愛着ある作品ばかりで編んだ珠玉の傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
takaichiro
88
約150年くらい前に上梓された米国作家オブライエンの代表作「ダイヤモンドのレンズ」を含めた短編集。表題作は極めて妖美。顕微鏡の微細な世界に理想の女性アニミュラを見つけるがすぐに死んでしまう。「この世は美しく彩られた砂漠」の表現から、現世に幸福感を見出させない男の虚しさを感じる。顕微鏡の先にある世界はしをんさんの「愛なき世界」にも通じるテーマ。人間が住むサイズからはあまりにも小さい。すぐそこにあるミニチュア世界の住人と直接触れ合い、会話することはない。狂おしさとその心情の美しさの葛藤。文学っていいねぇ。2019/08/11
マエダ
64
ダイヤモンドのレンズ突出して面白い。今年ベスト10は間違いない。”私が傑出した科学者なのか、狂人なのか測りかねいる様子だった。彼は後の方の考えに傾いていたのだと思う。私はたぶん狂っていたのだろう。全て偉大な天才は彼が偉大である分野に狂している。”2018/11/13
KAZOO
52
以前、創元推理文庫の「金剛石のレンズ」を読んでいましたので内容的にはほとんど理解していました。ただこちらのほうが比較的読みやすい割にあまり恐怖感というものが薄れている様には感じました。「不思議屋」は、ロボットものとはいうものの怪奇小説の分野だと思いました。この分野が好きな人には様々な楽しみが潜んでいます。2015/05/14
藤月はな(灯れ松明の火)
33
裏表紙でのあらすじ紹介で表題作がロボットものと称されていたが、絶対、違うと思う・・・・。逆に「ボヘミアン=流浪の民」という役割付で悪辣非道を行う三人組の描写にヨーロッパから見たボヘミアンへのレッテルの強さに落ち込みます。一方で「手品師ピョウ・ルー」の華麗なる大活躍とどんでん返しに胸が躍りました。2015/02/16
弟子迷人
33
既訳『金剛石のレンズ』http://bookmeter.com/b/4488538029の方に、「パタリロ」の文字が見えて嫌な予感もしたのだが、全く気にならなかった。たいへん素晴らしい作品世界だったので、別訳の『金剛石~』の読み比べだけでなく全集が読みたくなっています。とはいえ、たとえばポーの後継と言われつつ「モルグ街の殺人」もビックリ!なご都合主義の展開なども全体的にあるものの、そういうものを無視できる魅力にあふれています。自分などは「ロボット物の古典」で引いたクチだが、杞憂でありました。☆☆☆☆☆!2014/12/06
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