内容説明
恋愛で結びつくなどという結婚は、働かないと食べてゆけない人がすること──。上流階級でしか暮らせない男女のめぐり逢いを、醒めた文体で描いた、四篇からなるロンド小説。欲望を経た純愛、秘かな被虐性愛、静かに熱を帯びる片恋、南島での邪淫。満ち足りた暮らしの満たされない孤独を、四組の「わたし」と「藤沢さん」が織りなす。異才が贈る、正しい背徳と倦怠。(『コルセット』改題)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
255
あとがきにあったけど、カオルコさんは「恋愛もの」が苦手だったらしい。確かにこの連作短編集に出てくる男女はほとんど誰も恋愛してない...ながらも、ところどころハッとするような艶っぽい表現(どこだかはナイショ)があってさすがだなぁ、と。2017/04/08
ゆいまある
78
【KU】非常にエロい。「コルセット」改題。「昭和の犬」や「彼女は頭が悪いから」でカオルコさんを知った人は付いてこられないかもしれない。しつこい程の客観性。「ツ・イ・ラ・ク」からの流れ。カオルコさんはエロ表現を極めた人である。自由な結婚が認められない上流階級の恋愛。束縛があるから自由が輝く。マゾヒスティックな登場人物たち。平仮名と漢字のバランスや余白の使い方までが心象を表している。ああ、天才かこの人。とある一族の色んな人が出てくる短編集。どの話にも藤沢さんが出てくるので家系図書きかけたが繋がりはなかった。2024/10/13
まこみん
74
姫野さん始めてで、それがたまたまこの本というのがどうだったのか…働くのは決して生活の為でない上流階級層の自身や配偶者達の、淡々と(でも中身は!)綴られるエロス。4編の話の何れにも出てくる「藤沢さん」は其々別人で、「わたし」も別人、その他の人物は○や×表記でより捉えにくく表されている。部分的には思いが分かる処もあったけど、全体は何だか別世界の寓話を垣間見た様な印象。2016/08/26
ワニニ
52
内容はタイトルそのもの。見ようによっては大変エロいものを硬く書いているのが、旧題『コルセット』な感じ。窮屈で縛られていて美しく色っぽい…ような。生活の為には働かなくて良い大金持ちの、頽廃的な日々。それを語るのが私で、相手は藤沢さん。でも、それは記号のようなもの。主役二人は替わっていく。コルセットを脱いだ彼らなりの自由が、時折顔を覗かせる。が、それも一時の悦楽であり、なげやり感漂う。実は何の興味もなさそうな表現で、姫野さんならではの差異をお伽話に仕立ててくれた。時にうっとりする程に現実感なく、遠目に面白い。2014/11/23
らむり
49
……。合いませんでした。。私には。名前読みする作家さんリストから、姫野さん外そうかなぁ。2014/12/18