内容説明
幻覚とは外的現実がまったくないのに生まれる知覚、つまりそこにないものを見たり聞いたりすること。しかしサックスによれば、幻覚は狂気の徴候でも不名誉なことでもなく、それは他に類のないカテゴリーの意識であり、精神生活であるらしい。驚くべき、しかし人間のありようの根幹を伝える実例について共感をもって語る、サックス待望の医学エッセイ最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
43
結構、皆さん見てしまっています。幻覚即ち狂気ではなく、脳という魅惑のワンダーランド器官の為せる技と思うと、その奥深さに溜息が漏れます。サックス先生自らの薬物体験談が秀逸でした。古き良き60年代のお話ですので念のため。2015/04/29
たち
39
私は長年、酷い片頭痛を患ってきましたけど、幻覚を見たことはありません。が、こんなに大勢の人が幻覚を見ているとは知りませんでした。 虫とか怖い顔とかはイヤですが、楽しい幻覚なら見てみたいです。片頭痛発作の苦しみが、少しは和らぎそう。後、しょっちゅう幽霊見ちゃう友だちも、実は幻覚なのかな…。2019/11/18
wildchild@月と猫
37
幻覚は、見ている本人にとっては現実に存在するリアルな感覚。見せているのは私達の脳。決して精神病者に特有の事象ではなく、薬物・手術・病気・精神的ショックなどで、様々な状況下に晒されたごく普通の人の脳内でも起こりうる。著者がLSDや薬物が脳に与える影響を、自分を実験台にして観察していたのには驚いた。私たちが「視て」「聴いて」「触れて」いる現実は、全て脳で情報処理され、加工されている世界。ほんの少しバランスが狂えば、私たちが信じている日常や身体感覚の認知は、容易に歪んでしまうものなのだと気付かされた。2016/01/12
ケディーボーイ
32
様々な要因で人は幻覚(あるいは幻聴・幻臭)を容易に見る。イメージとして精神的な疾患によるものが多いと思っていたが、それは間違い。むしろそのイメージのせいで疾患を隠してしまう人が多いらしい。人間の知覚と脳の関係、その不可思議さが面白い。2025/11/30
1.3manen
28
12年初出。幻覚は想像、夢、空想のような創造性、知覚のような細部の生々しさと外在性がある(11頁)。シャルル・ボネ症候群(CBS):幻覚の決定的特徴は、本人が物事の実態を見抜けること。幻覚であり現実でないと本人が認識していること(38頁~)。CBSの幻覚がしつこい妄想、思い込みにはならない。中度アルツハイマー病は幻覚が起こる 可能性はある。幻覚が妄想を、妄想から幻覚を生じる(110頁)。複雑な譫妄と精神病は、夢と同様、ボトムアップである と同時にトップダウン(234頁)。譫妄:軽度の意識障害(広辞苑)。 2015/04/03
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