内容説明
「私はどうも死ぬ気がしない。最近では、私は死なないのではないか、とすら思います――」
「物心ついたころから十七音に、自分の生活のすべてをのせて生きてきました。日々起こること、感じることを、言葉にして口ずさみ、定型の音に収め、俳句を作ってきました」
御年95歳にしてますます矍鑠たる俳人、金子兜太さんが大正昭和平成にわたって過ごした日々から溢れた本音を俳句とともに語ったエッセイ。
これからを生きる世代に効く「本音」が詰まっています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
私的読書メモ3328
1
鬼籍に入られた今となっては、いやまあやっぱり普通に死にましたよね、と思わずツッコミを入れてしまいつつ、寂しくなるタイトル。故郷への思いやアニミズム、死生観など、前時代的と切り捨てる方もいるのでしょうが、そう即断せず少しは立ち止まってみようよ、と言いたくなるような説得力というか、真摯さがありました。要所で挿入されている本領の俳句については、全く素人ですが、十七音の定型を安易に破りすぎでは、と感じます。達観したような文章に混じり、銀行員時代の不遇については明らかな執着が見てとれ、その人間味も興味深いです。2020/02/27
K
1
私には浪江町出身の大切な友人がいる。彼の実家は原発事故により避難区域となった。彼の父君は、避難先の福島市で亡くなられた。金子氏は、この本の中で、生まれ育った土地に帰ることの大切さと、愛する人の死についての心持ちを書いている。友人は、金子氏の亡くなる2年前、文化部記者として相対し、その生き方に共鳴していた。友人はいつか浪江に小さな家を建てて戻りたいと話している。私は彼にこの本を贈ろうと思う。https://iizakaumare.blog.fc2.com/blog-entry-685.html2019/08/26
しばさん
1
産土とかアニミズムが私にはしっくりきました。 自己啓発や宗教書いろいろ読みそれぞれの良さがありますが、平凡地味なようで時には激しく生々しい、でもおどろおどろしない表現が心地よいです。 俳句も言霊ですね。 さらっと読めました。 2015/10/07
okatake
0
俳壇の御大の書。衰えた肉体が滅びるだけで、命はしなない。他の世界すなわち他界へと移っていくのであると書かれる。ありのままに生きる。私は、このような達観に達することは難しいが、言われていることは腑に落ちる。もっと、自分に素直に自分らしく生きていっても良いと教えてくれる本です。出来事には幸不幸はない。しかし、運不運はある。だが、後悔はせず、ありのままを受け入れる。こうやって、もっとどっしりと生きていきたい。2015/02/15
解析概論
0
本に書かれている内容が理解できるような気になれるのは、自分の中にそれだけの準備ができているということなのかもしれないと感じた。2024/09/01