内容説明
名前すら持たない奴隷の少女は、牢獄に囚われた青年軍人と出会う。彼の手で、光のあたる優しい世界へと連れ出された少女は、名前と、言葉と、愛情を与えられて、強く美しく成長していく。しかし、彼に抱いている想いが恋だと知った時、彼女には大きな選択が待ちうけていた――。せつなさと優しさあふれる、彼女と彼の8年を綴ったWEB小説を書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
フキノトウ
48
主人公ブランカの、10~18歳までのお話。最初の奴隷の時のお話は、読んでいてとても、悲しかったです。ブランカの内面が丁寧に描かれていて、途中泣きながら読みました。とても面白かったです。2015/02/06
陸抗
17
奴隷として虐げられていた少女が、軍人のリユンに助けられ、養女として生活することに。ブランカと名付けられた少女の成長物語で、始終凍えるような寒さに耐え続けるような展開だった。どこか淡々としていて、それでも想い人の為に動くブランカ。夜明け前の冬のような、ほの暗さもあるので、読むタイミングは選ぶかも。2019/05/14
幸音
15
周りで評判が良かったので購入。優しい青年軍人に名前と愛情を与えられた奴隷の少女の、8年にわたる物語。主人によるブランカへの折檻シーンは痛々しく辛くなるけれど、その部分以外はひたすら優しい優しい物語だった。p64の辺りやダンスに誘おうと頑張るシーンなど、不意に涙がボロボロ出てくるところも。幼い頃は養父、成長してからは愛しい人へと変わる描写が丁寧で素晴らしい。あと出てくる食べ物が美味しそう。時折「ブランカさん」と呼びかけるリユンが穏やかで優しい。報われないながら想い続けたゼノンに幸せが訪れることを願う。2014/11/30
ゆり
12
Web版既読。書籍として読んでも、とても素敵な少女小説です。ブランカの一人称の独特のリズムや言葉遣い、読んでいて響きの美しさに酔いしれます。ブランカとリユンの出会いから、少しずつ強く優しく美しく成長していくブランカ、ふたりに訪れる転機……八年の軌跡の物語。出てくる人たちがあったかくて優しくてミルクのシチューみたいにおなかがほっこりしてきます。痛いくらいの切なさとのさじ加減が絶妙です。ふたりの関係が甘く変わっていく様にどきどき。かといってすぐラブラブな展開になるわけでもなく……幸せになれて、良かった。2014/10/22
りん
10
Web版を読んだことがあるのですが、記憶がおぼろだったことと、ここの感想に惹かれて購入。雪女王の国で生まれた奴隷の少女が、春将軍の国の青年と巡りあったことで始まった運命。凍えた冬が雪解けになり、春が訪れるように、少女が女性へと成長していく純愛物語でした。まるで歌うように紡がれたストーリーがとても優しくて、特に、とても綺麗に名前を呼ぶと思う作品でした。寒い日のホットミルクやシチューのような、優しくて温かい気持ちのおすそ分けをいただきました。2014/10/27