内容説明
開塾にあたって松陰は「天下を奮発震動」させる人材が輩出すると予言した。松下村塾――それはわずか一年余の指導で、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文らの俊才を生み出した幕末の奇跡である。物置小屋を改造した粗末な塾舎では何があり、二十八歳の青年は塾生たちに何を教えたのか。塾の成立から閉鎖までを徹底検証、松陰の感化力と謎の私塾の全貌。(講談社学術文庫)
目次
はじめに
第一章 開塾まで
下田蹈海事件
獄中の講義
好学の家風
第二章 割拠の思想
塾 舎
入 塾
月 謝
友 情
華夷弁別
第三章 指導と感化力
引き出し喚起すること
煙管を折るの記
相労役
不良少年
送別のことば
第四章 何を教えたか
学 科
学習の方法
評 価
飛耳長目
第五章 対外活動
官学との抗争
交 流
藩政への発言
松下村塾の閉鎖
塾生の「心死」を嘆く
『留魂録』
第六章 塾生架空座談会「村塾のころ」
松陰の風貌
学習風景
村塾の人々
松下村塾関係人名録
松下村塾略年表
参考文献一覧
原本あとがき
学術文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
41
1995年の著。松蔭の松下村塾での教育に焦点を当てて記述。書き下し文、口語訳を交えながら、評価や思い入れを排して書き進められているが、著者が教員、新聞記者、そして文筆業と進んだ人だけに、テンポがよく読みやすい。書かれている内容は従前に読んだ2冊と大きく変わることがなく、この3冊でおおよその吉田松陰像を結ぶことができた。巻末に関係人名録、年表が付いているのは便利。間部詮勝暗殺計画について、門下生をそれに向けて訓練しておらず、藩論の動揺を狙ったものではとの評価をしていて興味深い。塾は実質それで閉じるわけだが。2021/05/18
Y2K☮
34
ある人が松下村塾を「テロリスト養成所」と評していたことが長年引っ掛かっていた。本書のおかげで解決。討幕目的で起ち上げた塾ではなく、外国に飲み込まれまいとする熱が結果的に(かつ必然的に)そこへ結び付いた。吉田松陰のスタンスは師事した佐久間象山と同じく「いずれは開国。しかし黒船に脅されて条約を結ぶのは国の尊厳を損なうゆえ当面は攘夷。だが外国から学ばねば勝てない」というもの。この二重三重のロジックを理解できる人は当時も今も日本には少ない気がする。あと前原一誠が高評価で嬉しい。人間的には高杉や久坂より上とのこと。2022/07/21
かに
8
吉田松陰の伝記的な感じではなく、吉田松陰や松下村塾、塾生などが書かれている。吉田松陰はとにかくおだやかであった。知識の豊富さや人格や器に人々は惹かれていったのだなと。学習スタイルも行動を重んじ、成績などはなく独自のものであった。第六章の吉田松陰を語る塾生架空座談会が面白かった。真っ直ぐで偉大な人物だった様子がわかる。2023/07/28
スズツキ
5
コンパクトながら的確に松下村塾についてまとめてあって良いと思う。どういう教材を使っていたかはやっぱり気になるからね。2015/06/24
RY
4
新潮選書版にて読了。同一のものなのかは不明…。松下村塾を論じたものとしてはとても秀逸に感じた。ただ、「主人公」の不在からかどことなくまとまりのないものにも思われた。大河ドラマの鑑賞の参考にと手に取った。2015/03/08
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