内容説明
当たり屋の老人、甥に入れあげる解剖好きの女、怪しい楽器商、しゃべる疱疹に二股男。夜の湖に女は何を沈めたのか…。小さな悪事がもたらす運命の変調を鮮やかに描く連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
61
小池さんらしいぬめぬめとした輪郭のはっきりしない言葉・表現で描かれる「悪事」は、善悪の境目がはっきりしない短編たち。震災後文学としての性格もあるのだけど、最後の短編の中原中也の詩の使い方が良かった。2016/08/18
らむり
53
当たり屋男、甥好き女、ミスコン疱疹女・・・。悪事と言えないような?悪事を描いた短編集。突然主語が変わったりするのが気になりましたが、結構好きな作品です。2014/10/21
なゆ
50
8つの短編それぞれ、悪事や悪意や何か不穏なムードが漂う。『たまもの』の雰囲気が好きだったので読んでみたが、これは全く違う感じ。これはこれで、不気味に漂う余韻がなかなかどうして。「生魚」の穏やかな雪子から滲み出てきた狂気のようなものとか、「救済」のまるで笑えるホラーなラストなんかは好み。「意気投合」なんかも、いろんなタレントの洗脳騒動を想像させる。全体的に、怖いなぁ~という感想。小池さんの作風がまだ掴めないので、他にも読んでみたいと思う。 2015/01/27
いくら
31
『厩橋』で私のなかで目の離せない作家となった小池さん。今年我が家の修羅場だったセンター試験で影響を及ぼしてくれたのは、忘れがたい記憶となっていくことでしょう。さて、最新作の『悪事』。嫌な汗をかく、居心地悪い記憶を呼び起こされるなど、嫌な意味で口角が上がったり下がったりと、いろんな負の感情を触発してくる。どれも良かったけど、『風下に向かって煙は動く』と『疱』と『救済』に特にやられてしまった。2015/09/11
なっち
26
初読みの作家さん。8編からなる短編集。なんだか居心地の悪い読後感。圧倒的な悪意や暴力はなくても,じわじわ心を蝕んでいくような,そんな話が多かった。2014/12/10