内容説明
自国の国益のためには手段を選ばぬ帝国主義の時代の再来だ。アメリカ、EU、ロシアの対立構図、日中韓の国境問題等、世界に戦争の臭気が広がる中、生き抜くためには情報分析の力は全国民にも不可欠だ。世界のパワーバランスが最も安定を欠く2013年~2014年、日本外交の歴史に残る最強外交官の目はその時代をどう捉えるか。メディア、各国の公式見解等の勘所の押さえ方を具体的な時事分析によって展開。ビジネスパーソンが今日から使える、超実践的な情報分析術。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
91
第1章とそれ以外ということですね。第1章は講義のような感じでどのような本を読んでいかに正確な情報を得ていくかが書かれています。数学もやったほうがいいと書かれています。それとやはり佐藤さんが推薦した岩波講座世界歴史(第一次)31巻を私も読んでいます。佐藤さんがあまりにあちこちで推薦するので古本の値が上がったそうです。第2章以降は、結構本年お話が出てきて私には興味深く読みました。申し訳ありませんがアサヒ芸能のような週刊誌でなければこのようなことを書かせてくれないと思います。自主規制してしまいますよね。2015/10/28
あちゃくん
86
相変わらずの佐藤氏の情報分析の鋭さです。ただ、週刊誌からの転載の第二章以降は、本人は日本のために糾弾しているんだと言うのでしょうけど私怨が全開過ぎてちょっと。。。。この本のなかで批判されている側も批判している側も日本の外交のプレイヤーだと認識したうえで、日本が海外からどう見られそれをどう活用し変化させていくかそしてそのために彼らがどう動いているのかをきちんとウォッチしていくことが必要なんだろうなと思いました。2015/11/29
たかしくん。
42
今や日本の教養人を代表する一人と感じてます。それにしても、世界史を学ぶには「岩波書店、世界史(全31巻!)」を推すところが、さすが凡人では思いつかない! 本著作で印象的だった部分は以下2点。①沖縄の自己決定権を回復するために、琉球語の普及と継承をすべきとの提唱。②金正恩の北朝鮮が「核兵器よりも母なる党の愛と信頼が生んだ偉大な力」と表現で、優しさを前面に打ち出している姿勢に「共感」を探すべきとの主張。2015/05/07
非日常口
19
旧ソ連では最初数十ページだけが検閲されたので、その後ならある程度自由にテクストを書けたらしい。きっとこの本はビジネス書の棚にも並ぶ気がする。一章だけ書き下ろしで、その後は著者の国際情勢を分析したまとめ。今後を考える上で前提としてより多くの人が知っておくべき視点が多分に盛り込まれる。一部著者のストレス発散も見られるのは気のせいか。「元外務省主任分析官・佐田勇の告白: 小説・北方領土交渉」と表裏の関係にある気がします。2014/09/25
masabi
18
優れた分析家の分析を学ぶ、失脚した幹部はその組織の文法を知っているので踏み込んだ分析ができるなど情報分析術に関する記述からなる1章が一番興味深かった。残りはロシア、沖縄が大部分を占める。ここで醜態を取り上げられている人からよく訴えられないなというのが率直な感想である。オープンソースから情報を得、いかに目的に沿って利用するか。情報のための情報、分析のための分析は必要ない。2014/12/15