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内容説明
民俗学者・国文学者・歌人として膨大な業績を残した折口信夫。その論争的な日本文化論の核心を、万葉に日本人の根を求める、魂の古代学として読み解く。第7回角川財団学芸賞受賞作。『魂の古代学』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
吟遊
14
折口の評伝を描きながら、思想をポイントごとに説いていく。全五章で、生涯の5つの期間に渡って、万葉集、神道との距離感、まれびと論など。著者の考えや感想もちょこちょこ挟まれるし、話題も多いので、論点を突き詰めるよりも賑やかな本。3ヶ月で万葉集を全部口語訳したというのはほんとうなのか…。すごいね。2017/03/29
しずかな午後
8
折口信夫の入門書としては最良の一冊であると思う。筆者の折口への距離感が非常によくて、折口を信奉するのでもなく、断罪するのでもなく、近代日本に生きたひとりの思想家として時代の文脈のなかでその生きた姿を描き出す。内容も多岐にわたるが、第一章では柳田国男との関係が、第二章では戦前戦後の天皇の変化が、第三章では関東大震災の朝鮮人虐殺(そして国学との関係)が、第四章では『口訳万葉集』が、第五章では被差別部落や芸人との関係が、それぞれ手堅く語られる。折口信夫がいったい何をしようとしていたのかを多面的に描き出している。2025/01/07
マリリン
8
何となく惹かれるものがあって手にした本だと思う。折口信夫が生きた時代は祖父が生きた時代とほとんど同じで、とても興味深く読んだ。柳田國男との意外な関係は初めて知った。2017/01/09
うえ
7
読ませる折口論。「現在、日本を代表する、ある古代文学研究者は、自分の指導する学生たちに折口の著作を読むことを禁じている…なんと今の時代に禁書とは思ったが、私は彼の気持ちがわからないでもない…実際に折口の民俗学に関わる緒論を…分けて個別に実証しようとした諏訪春雄は、そのすべてが論理破綻しているとの結論に至っている…諏訪は熱狂的崇拝者たちの存在を意識しつつ、あえてこう挑発的に言い切ったのであろう。たしかに、諏訪の著書を読んでみると批判の一つ一つが当たっており、諏訪の発現は残念ながら認めざるを得ない」2017/08/02
Masakazu Fujino
4
非常に面白かった。折口信夫という人はずっと興味を持ってきたが(箱根の叢隠居にも行ったことあり)、この本を読んで折口信夫の人となりが初めてよくわかった。きわめて魅力的で矛盾に満ちた愛すべき人。この本を書いた上野誠氏にも敬服。 2018/12/21




