内容説明
好きだった。でも、忘れたふりをしていた。あなたはもう隣にはいないから。けれど、ふとした拍子に見つけたあなたからの贈り物が、閉じ込めていた記憶を揺り起こし――。つきあっていた男性からの婚約指輪、一目惚れした女がくれた一冊の本、憧れていた先生にもらった赤いボールペン。大切な人に贈られた物を巡るかけがえのない思い出を綴った、いとしくて泣きたくなるほど切ない7つの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
196
とっても切なかったです(´•̥ω•̥`)過去の大切な恋の切ない7つの物語*加藤千恵さんの作品を読むのは10作目。大好きだけど忘れることしかできない場合もある。皆どうすることもできなく次の人生を歩み出す。胸の奥の方に閉まっていた想いを過去に大切な人からもらった贈り物を偶然見つけ想い出す。瀧井朝世さんが解説でカトチエさん作品を上手く表現されてます。「同じ体験をしたことないのにここに書かれている気持ちの揺れを確かに知ってる」私もいつも気持ちの揺れ、痛み、切なさに共感してるんだなと思います*表紙はいくえみ綾さん。2016/04/11
おくちゃん👶柳緑花紅
82
贈り物(思い出の品)がテーマの七つの短編集。初めての加藤千恵さん。過去に同じ経験を体験をした。そして私がしなかった経験と体験。それなのに主人公たちの気持ちは確かに私も知っている。そして気付く。私は先生物に弱い。川上弘美さんの「センセイの鞄」ではツキコさんになりきって、そして本作最後の短編「先生、」でも幾田さんになりきって。先生という響きは愛おしくて苦しい。そんな経験はないにも拘わらず・・・。短歌も是非読みたい。2015/08/18
やも
74
ええんやで🥲泣いてええんや🥲思いっきり泣き、全部聞いたるから🥲読みながら思わずそう声をかけたくなってしまう、切ない短編7話。いじらしいと言うのか、はっきりしないと言っていいのか、はたまた優しすぎるのか。①母親を置いて結婚は出来なかった娘②モテてばかりの俺を唯一こっぴどくフッてきた忘れられないあの女③DVしてしまうほど愛しあってた私たち④あの子がいたからやる気になれた中学時代⑤女子校時代の卒業は同級生のあの子とキス⑥流産後は旦那さんとのスキンシップが無くなった奥さん⑦感謝と拒絶の年の差恋愛。★4.52022/05/20
ひめか*
56
いつものように切ない系短編集。悲しくて胸が痛むような話ばかりで私好みではないが、恋愛の苦しさや人の心の動きが巧みに描かれる。一番好きなのは『あの頃の天使』告白するまでの会話のやりとり、おれの気持ち…私はおれになって感情移入した。遠距離恋愛すればいいのに。最後は切ないが青春で微笑ましく彼らを眺めていた。『触れられない光』まさに題名の通り。なんて切ないの…どうすることもできず胸が苦しい。母親に縛られてる感じが何とも言えない。『被害者たち』は完全に暴力男だから私なら即逃げるw一緒に生活するなんて信じられない…2015/12/30
ぶんこ
52
「あとは泣くだけ」の思い出ってあったかな?と思うが思い出せない。こうして何かしら思い出となる物が出てくると、切ない気持ちと一緒に過去がよみがえるのかもしれない。「恐れるもの」が印象的でした。これは楽しい思い出なのか、辛い思い出なのか考えてしまう。この悟りきったような夫と妻の立ち位置が理解不能なのに、だからこそ印象的だったのかもしれない。「あの頃の天使」の男の子が気力を取り戻してくれたらいいな。2020/12/07