内容説明
習近平主席は就任以来、「中国の夢」を盛んに唱えている。2049年、つまり中華人民共和国の建国100年までに、「中華民族の偉大なる復興」を成し遂げようとしているのだ。だが著者は言う、「たとえそうなったとしても、そのとき、中国には健康な人間は一人もいなくなっているのではないか」と。国内では世界一の環境汚染が放置され、水も飲めない、空気も吸えない、食べ物も信用できない。おまけに毎日のように、暴動、爆発、事故が起こるし、不動産は高すぎて一般庶民には手が出せない状況になっている。だから、人々は政府を信用せず、信用しているのはカネとコネと身内だけ。その結果、カネをつかんだ者からあっさり国を捨て、出て行くということが起こっている。ことほど左様に、「14億人」の生命・財産は危機に瀕している。こんな国が国際社会で信用され、人類の未来に貢献できるのか? 度重なる現地取材を通じて、彼の国の悲惨な実態をリポート。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
25
大気汚染、食の危険性、官僚の腐敗・・・一部の人々が膨大な利権や財産を得て。一方では不満が怒りに変わり暴発寸前の中国について書かれている。 ただタイトルに対して、後半は中国の躍進する姿にも言及されている。現在日中関係は最悪の状態のもとで、お互いに過ぎた愛国主義も進む一方だ。 戦時中の出来事を蒸し返してお互いに論評しても関係はさらに悪化すると思う。香港の出来事も気になる。よりエスカレートしないためにも、対話の必要性も感じた。2014/10/05
Jun Kanno
1
国が発表する統計すらも信用できない、偽装大国と呼ぶに相応しい中国。著者の娘さんが南京に留学していた期間があり、著者自身が現地で見聞きした実体験も織り交ぜつつ、この本のタイトルにつながる、中国が世界の覇権国家となりうるか、という命題に異議を唱える。シェールガス、イノベーション革命によるアメリカ復活という予測やエコノミスト中原圭介氏の2025年予測などを紹介しつつ結論を導きだしているなど、世界情勢を踏まえた展開はなかなか読み応えがある。2014/10/25