集英社新書<br> ニッポン景観論

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集英社新書
ニッポン景観論

  • 著者名:アレックス・カー【著】
  • 価格 ¥1,188(本体¥1,080)
  • 集英社(2014/12発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087207538

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内容説明

京都の名所旧跡の路上にも、醜悪な電柱と電線が張り巡らされている――。1960年代以降、日本の国土は開発により「近代的」に変わり始めた。伝統的な景観がさまざまな形で壊されていく様子を、著者は“国際的な目線”で見続けてきた。本書は、全国で撮影した「醜悪な建築」「邪魔な工業物」「過剰な看板」などの写真を並べながら、日本の景観が壊されてしまう構造を論じ、貴重な観光資源を破壊する国家的損失を指摘し、美しい景観を取り戻すにはどうすればいいのかを提言する。異色のヴィジュアル文明批判である。【目次】序章/第一章 細かな規制と正反対の眺め ―電線、鉄塔、携帯基地局/第二章 「町をきれいにしましょう」 ―看板と広告―/第三章 コンクリートの前衛芸術―土木/第四章 人をビックリさせるものを作る力―建築、モニュメント/第五章 ピカピカの「工場思想」―工業モード/第六章 人生は「ふれあい」―スローガン/第七章 古いものは恥ずかしい―町へのプライド/第八章 国土の大掃除―観光テクノロジー/ニッポンの景観テクノロジーを世界へ/終章 日本人が掌に持っている宝

目次

序章
第一章 細かな規制と正反対の眺め ―電線、鉄塔、携帯基地局
第二章 「町をきれいにしましょう」 ―看板と広告―
第三章 コンクリートの前衛芸術―土木
第四章 人をビックリさせるものを作る力―建築、モニュメント
第五章 ピカピカの「工場思想」―工業モード
第六章 人生は「ふれあい」―スローガン
第七章 古いものは恥ずかしい―町へのプライド
第八章 国土の大掃除―観光テクノロジー
ニッポンの景観テクノロジーを世界へ
終章 日本人が掌に持っている宝

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ🍀

154
古き良き風景と日常が入り交じる日本の景観。アレックス・カーから見た違和感を記す本。道路には無数の電線が走り、多数の看板が掛けられて、あれはこちらこれはこちらと賑やか。観光地には、危険、この柵を越えないでください、敷地内禁煙などの張り紙が、美しい景色の前を陣取る。重要文化財の後ろには高層ビル。海岸や河川をコンクリートで固めてしまう。街路樹も伸びた枝を切られてしまい、自然のままにはいられない。そうかもしれないし、探せばいくらでも出てくるけど、これも日本なんですよね。理想と現実。すべてを美しくは飾れませんから。2020/10/08

スパシーバ@日日是決戦

96
{2014年} 全国で撮影した「醜悪な建築」「邪魔な工業物」「過剰な看板」。無法地帯と化した電線・鉄塔・携帯基地局、観光名所に必ずある看板や広告、コンクリートの埋め立て、有名建築家によるモニュメントについてそことなく、時には痛烈に批判。これからは無駄な公共事業に投入される国家予算を、国土を大掃除のために使いましょうと提言。景観よりも経済効果や利便性を追求した結果こうなった。我々の感覚も麻痺しており、行政システムやそれの何が問題なの?的な認識を改めない限り、日本の未来は..。2015/11/19

Miyoshi Hirotaka

67
世界を席巻するテクノロジーが及ばない世界が景観。電線は埋没できない、看板は多いほどよい、文明とはコンクリート製の奇抜な建造物を作ることという神話が信奉され、景観を破壊してきた。実は、便利な道路もなく、資料館も看板も、電線も鉄塔もない心がほっとするような田園風景こそが貴重な文化財。かろうじて生き残った風景をどれだけ消滅させないかが地方に残された再生のチャンス。一方で、それは世界に通じる競争優位に成り得るもの。「愛しているなら怒らなければならない」、著者の深い愛情がキツイ皮肉と率直な批評にあふれている。2015/06/23

ロア

63
安易で軽率で幼稚な日本は表面的には先進国になったが、文化や歴史に対する考え方は発展途上国のままだ。簡単に自然を破壊してコンクリートで覆い尽くし、貴重な建築物は雑多な看板や自動販売機、コインパーキングで囲い込む。私達が暮らす街には電線が張り巡らされ、統一感のない建物がひしめき合い、広告看板が乱雑に掲げられている。この本にはそんな日本の現状とそれを改善するための方法が述べられている。2020年のオリンピックに向けてこれからもっと酷い有様になるのか、それともまだ何とか間に合うのだろうか?2016/10/10

tamami

58
著者は1964年に初来日、以来亀岡市とタイのバンコクに居を構え、世界を飛び回っている国際人?である。日本では景観保存活動や講演、古美術品の収集などを行っていると言う著者は、本書で戦後日本の到るところで行われた、近代化に名を借りた景観破壊活動に警告をならし、日本の自然や古来からの佇まいを取り入れ、景観に配慮した都市、村落のあり方を提唱する。全ページに漂う著者の皮肉たっぷりな現代日本の景観は、鮮明なカラー写真と相まって強い印象を残す。ことに、現代日本の有名無名の建築家への批評は強烈である。古美術にも造詣が深い2022/09/23

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