内容説明
ヒエログリフ(神聖文字)、スフィンクス、死者の書…。本書一冊で古代エジプトがわかる、概説書の決定版。どのような国土にどのような人々が、どのように暮らしていたのか。紀元前三〇〇〇年あたりからアレクサンドロス大王に征服されるまでの二七〇〇年余り、三十一王朝の歴史をひもとき、数少ない資料を丹念に解読し、その宗教、死生観、言語と文字、文化などを概観する。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みのくま
13
古代エジプト人の死生観は不思議だ。死後の世界も王の支配の下労働には励まなくてはならないという。つまり死後の世界も現世の陸続きに他ならないのだ。しかし、その割に古代エジプトは文字文化だった。文字は、その記載者に永遠の生と名誉を与える。また、その文字による文学も盛んだったようだ。対して古代エジプトにおける建築は、ピラミッドを初めとする墳墓以外はあまり恒久性を重視しなかった。宮殿や家屋は基本、日干しレンガで作られている。何にせよ、ギリシアや中東に先立つエジプト5千年の文明は、何かしらの影響を我々に及ぼしている。2018/05/12
BIN
10
古代エジプト王朝の通史的なものを期待していたのですが、それはさらっと流してエジプト語や文化(ミイラやピラミッド)、宗教・死生観など古代エジプトに関して一通り網羅されている。特に文学作品が4つの翻訳があり、あえて直訳しているせいか非常に理解しにくい。文化面やエジプト語は興味深かった。やはりどこでもそうだが憎きは墓泥棒。2017/03/18
拓実
9
古代エジプトには元来興味があったため、書店で見つけて衝動買いした。大きく分けると、歴史・宗教・言語の観点から古代エジプトを概説していた。第六章 文学作品では、描写されているエジプトの神々が想像以上にアグレッシブで驚かされた(私が詳しくないだけで、古代の神々は大体そういうものなのかもしれない)。また、この章のようなエジプト文学作品は、目新しく、大変面白かったのだが、少々読みにくかったようにも感じる。筆者曰く「原文の言い回しを出来るだけ直訳し、あえて日本語としては生硬な表現とした」らしいが、私個人の感想とし⇒2025/12/09
belier
5
古代エジプトの入門書。歴史部分は有名な人物や出来事に絞り、宗教と神話、死と来世、言葉と文字、文学など幅広く解説している。特に文学作品を紹介する章では、毛色の違う短い4作品を全文訳出しているのがよかった。聖書に似たくだりのある物語、神が出て来ない小説的な話、あまり他では見たことのない展開の神話があったりして楽しめた。最後の作品を読んで、古代エジプトのジェンダー観はけっこう柔軟だったのかもしれないと思ったりした。2023/09/10
坂口衣美(エミ)
4
面白かった。エジプトといえばミイラやピラミッドという感じだが、古代エジプトの言語や神話のことも書いてある。2014/10/26




