内容説明
自身の肉体を削るように詠まれた珠玉の歌
万葉の時代から、女性たちの思いは31音に込められさまざまに歌われてきた。本書では昭和20年以降の女性短歌を取り上げ、恋愛・病・母性、そして震災まで、女性ならではの細やかな心性で詠まれた歌を紹介。秀歌の鑑賞と同時に、戦後女性たちがどのような状況で生きてきたかを振り返る。前川佐美雄賞・斎藤茂吉短歌文学賞受賞後、初の評論集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
16
昭和20年代から平成後期までの女性歌人による短歌の選集。テーマ別にもなっていて、添えられている評論も教科書的に目配りが広い感じで、読みやすかった。けれど、同時に女性の人生を追う流れにもなっていて、わたしにとっては、女性の人生に起こりえるときに痛ましく辛い思いを追体験することでもあった。小説とはまた違う、この鋭さとイメージの喚起力が、短歌なのかな。面白かったです。2021/09/08
しなの
14
女性歌人の短歌ばかりのアンソロジー。特に、第一章恋こそ短歌の泉、第七章食と住と仕事がおもしろい。花もちて鉄扉のかげに待つときの少女めきたるわれを自嘲す(中城ふみこ) たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか(河野裕子) 逢はぬ恋遇ふ恋それも六十路にて逅はぬ恋みすこの黄昏よ(山中智恵子)2016/08/19
てくてく
10
女性による女性歌人の秀歌歌。恋から家族、仕事や震災とさまざまな項目で選ばれている。オーソドックスなところが良かった。2019/12/23
はち
9
あえて女性の歌に限定したアンソロジー。そのためかこの手のアンソロジーでは珍しい食事(料理)の項も設けられている。病気の項でも珍しい精神病に紙面が割かれている。戦後女性歌人はほぼフォローしているのではないだろうか。そして新しいアンソロジーゆえに、最終章では東日本大震災が語られる。最新のトピックを正面から扱うことに異論もあるだろうが(当然そこに置かれる歌は時の洗礼を受けていない新しいうたになる)これでいいんじゃないか、と思う。戦後から震災まで包括するにはこうするしかない。それを言い出したら若手(例えば大森静佳2015/04/01
はち
7
再読。女性歌人で振り返る現代短歌史。2016/03/07




