角川文庫<br> 数えずの井戸

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角川文庫
数えずの井戸

  • 著者名:京極夏彦
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • KADOKAWA(2014/08発売)
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  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041015964

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内容説明

数えるから、足りなくなる――。暗く冷たい井戸の端で、「菊」は何を見たのか。それは、はなかくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。怪談となった江戸の「事件」を独自の解釈で語り直す、傑作怪談!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

95
番屋皿屋敷といえば皿数えで有名な怪談ですが、それを大胆な解釈で新たな物語として息吹を与えていました。冷たく暗い井戸の淵で見たものが菊の亡霊を呼び出し、夜な夜な皿を数えている姿が儚くも美しかったです。足りないから、欠けているから永遠に満たされない想い。無間地獄に囚われた菊の静かな哀しみがひたひたと足音と共に迫って来るようでした。怖く、凄惨なはずなのに綺麗な調べが印象的です。講談のような語り口調が独特でした。 2016/04/23

ケイ

92
文庫での再読。気はいいが少し足りないところのあるお菊に、ほっとする人も、その愚かさにも拘わらず人を惹き付けるところに激しく嫉妬する者もいる。それが悪意や悲劇をうむのだが、数える、数えないでおこる不可解さは、この長いストーリーを支えるには少し弱くはないだろうか。解説を書いた道尾さんは、苦労したと思う。数ある京極作品の読み取りの深さと、『物語という器』という解説の題の付け方に脱帽。この本はわかりにくいが、京極さんは他の本でこんなにすごい事を言ってるんですと読者に伝えたかったのか…。2014/11/22

えみ

67
何かが足りない。誰もがどこか欠けている。そんな空気が堪らず発露されたとき、透徹した悪寒に襲われる。世にいう番町皿屋敷、夜な夜なお菊が井戸で皿を数えるというあの有名な怪談が、凄惨で陰湿な人間の正体と儚く悲しい欠落の物語として再び甦る。足りない部分を埋める為にそれぞれが求めたものは何だったのか、その為に何が起きたのか…あの亡霊の真実は思いもよらない事件の裏にあり。理由ある死と言い訳のできる生。どちらも圧倒的に欠けていると感じたのは私だけではないはず。愛情、憎悪、憐憫、嫉妬…恐ろしいほどの情動が一瞬を支配する。2022/04/24

NAO

53
とにかく、登場人物が多い。家宝の皿を割ったお菊、彼女を手打ちにした青山播磨の他にも、青山家の側用人、中間。青山播磨の遊び仲間。青山家に嫁ごうとしている娘、などなど…。そして、その片隅に、ひっそりと、ぽっかりと、井戸がある。本当に、こんなにたくさんの人物が登場する必要があるのだろうかと思いもするのだが、虚無を描くには、たくさんの人のたくさんの愚かしさが要るのかもしれない。『嗤う伊右衛門』同様、怪談をもう一段別の世界にひきあげた京極ワールド。2016/10/24

りょうこ

52
長かったが不思議と苦痛では無かった。みんなそれぞれ何かが足りなかった。それをどうにか補おうとする者、奪おうとする者、ただ数を数える者、足りぬものはない見たままだという者、怪談番長皿屋敷についてここまで深く考えたことなど無かっただけに、ああっきっとこの結末が私の中で皿屋敷の怪異の結末になってしまうんだろうな。あの怪異談だけでこのボリューム!長かったが不思議な読書時間だった。2014/09/10

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