内容説明
戦争は、ここから、生まれる
ポスト冷戦、テロとの戦いの次にやってくるのは、どんな時代なのか。ウクライナ紛争はどこへ向かうのか。ロシアはなぜクリミアを編入できたのか。次に戦争が起きるのは、ウクライナか、アフリカか、アジアなのか。無秩序な世界の狭間で、大国の論理に翻弄される国家にあらざる国、未承認国家。未承認国家を起点に、不安定化した世界を読み解き、破綻した主権国家システムの行方を占い、歴史の転換点をときほぐす。
[目次]
第1章 戦後世界を概観する
第2章 未承認国家という現実
第3章 コソヴォというパンドラの箱
第4章 帝国の遺産
終章 未承認国家の向こう側
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
66
未承認国家から現行の国際システムの問題点を見てゆく本。未承認国家の問題が解決困難なのは「領土保全」と「民族自決」どちらを優先させるかの国際的な基準が曖昧だからで、ユーゴ解体時の領土の現状承認原則を軽視して08年にコソヴォ独立を承認したことで欧米はダブル・スタンダードに陥り、それが14年のロシアのクリミア併合正当化の根拠となるなどの弊害を生んでいること、大国(米国・ロシア)の世界戦略の一環として未承認国家が利用されている面もあること等が語られ、この矛盾や欺瞞の延長線上に現在の世界情勢もあるように思いました。2023/09/20
壱萬参仟縁
20
未承認国家(US)とは主権国家としての宣言しつつも、国際的な国家承認を得ていない国家(4頁)。今年7月現在、9つあるようだ(12頁~)。TIME誌でかつて知ったイスラエルの分離壁(50頁~)はゲーテッド・コミュニティのよりも酷。完了すれば788キロもの長さ。USは本来的に違法な存在(99頁)。世界から取り残されるUS(102頁)。住民にとって、民主化・自由化が保障された社会は、法的親国より優れていればUSに住み、これを支える誘因たり得る(134頁~)。2014/12/20
たまご
17
国民国家(nation state)の限界が,ここにも.第3帝国もこの理論で大戦を開いたのですよね.知らなかったんですがいわゆる中欧,コーカサス地方にこんなに多くの民族があちこちに住んでいる状況では,民族で領土を定義するのは無理すぎです.参加民族・共同体がある程度納得してまとまる方法に共同国家はなれるのか,理解が追い付かず,イメージわかず. 一番のびっくりは,コソヴォ共和国(未承認国家)国民が,国に違和感を感じている発言.この国が承認されても,またそれが新たな火種になる感じ満載で,本当に難問です.2018/01/28
ハチアカデミー
17
未承認国家とは、「国際的な国家承認を得ていない「国」」であり、具体的にはかつての満洲や、現代のコソヴォ共和国、ソマリランド共和国、台湾などを指す。また、その裁判のやり方に国際社会が非難を浴びせたウクライナ危機に伴うクリミアのロシアの編入に際も、クリミアは一時的に未承認国家として独立をしていた。ロシアとアメリカの対立関係があらわにありつつある現在、この「未承認国家」という国の存在、あり方が、今後の国際社会へ大きな影響を与えうると説き、その根底にある国家という枠組み、主権や領土保全という概念の限界を指摘する。2014/12/18
すしな
16
051-22.未承認国家という切り口で、世界を眺めるとまた違った風景が見えてきました。日本人が考える国家は、 同じ民族で同じ文化を持った集団というのが一般的な認識かと思いますが、世界の殆どの国は多民族国家ですし、大陸の国は地続きなので、いろんなパワーバランスの影響を受けて、中には法的な親国とは袂を分かち独立の道を歩むのだなと。大体は背後にパトロン国がいるみたいですけどね。アメリカはそういう支援をするために、大規模な軍事基地だけではなく、小規模な基地を各地においているようです。そういう図解もあります。2022/05/19
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