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内容説明
「信長は本当に全国統一を目指していたのか?」「『天下布武』は全国統一宣言だったのか?」「正倉院の秘宝『蘭奢待』切り取りは、天皇の権威簒奪のためだったのか?」…。これまでの常識と先入観を排し、確実な史料だけに基づいて信長の行動を解釈する、最も新しい知見に基づいた最新の信長像。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
内藤喜八
84
織田信長、室町幕府再建のため足利義昭を京の都へ連れ、朝廷へ仕えた。最後は、その義昭、将軍を追放し、その後、部下の明智光秀に裏切られて終わった。その短くも華々しい時期、日本人の多くが大好きな英雄である。見苦しい醜い面は目立たず、ほんとヒーローそのもの。いろいろあったようである。歴史は、多くの人、関係者の記憶に残るところで好きなように残される。記録好きな人の日記や特に記録した文物で評価される。たまたま後が続いたことで、様々な出来事が歴史として残される。本人は関係なく名前だけ残る。あとはただ風が吹いているだけ2025/12/05
蜻蛉切
29
革命児、旧権力の破壊者といった、従来からの「通説」を再検討しつつ、今日の信長研究の成果や、様々な説の紹介などを分かりやすく紹介している好著である。 例えば、有名な「天下布武」という概念は、従来「全国を武力によって統一」と解釈されてきたが、今日においては、将軍権力の及ぶ範囲(畿内周辺)という解釈が有力となっているといった具合である。 但し、著者自身まだ「想像の範疇」な部分も多くあるとの留保も多々あるので、これを以って「史実」となるかどうかは別問題。 分かり易く且つ慎重な言い回しである点も好感を持った。2020/04/12
chang_ume
15
同時代史料からみると、織田信長はひとりの16世紀人だったことが理解されます。畿内一帯または室町将軍の勢威が及んだ範囲とも定義づけられる「天下」について、「静謐」を志向した信長の事業性質=「天下静謐」が、結果的に他大名とは隔絶した支配圏拡大を招いたという解釈。この場合、信長の構想は「室町将軍と地方有力大名の併存」に近く、後の秀吉による統一事業(征服戦争)とは全く異質です。あとはこれらの解釈が他分野、たとえば城郭研究の成果とどのように照合できるだろうか。「天下静謐」と「天主」を結ぶ像があまり見えてこない…。2020/02/06
skunk_c
15
神田千里氏のものの2月ほど前に出されたもので、基本的な姿勢は共通。特に天皇の意向を図りながら、時に天皇を叱責しつつ、天下静謐を目指そうとする姿勢を新発見を含めた史料から丹念に掘り起こしており、説得力がある。信長が官位に対して余り詳しくなかったのではとの説は、同様の印象を抱いていたので首肯できた。詳しければ信忠に大臣職の禅譲ができないことが分かっていただろうから。最後の三職推任あたりから信長の姿勢が「全国制覇」に変わり、四国責めを企図、これが明智光秀の反乱を誘発したのかもというダイナミックな推論は面白い。2015/09/17
galoisbaobab
13
歴史学ってのは難しいね。記録が点として存在するだけで点を線にして面にして立体にしていくのは人間の想像力。ボクのノブナガ像はそんなにこの本とズレてないのはなんでだろうな。十二国記に出てくる天道に従う愚直な武人ってイメージなんだよね。四国政策をひっくり返したタイミングで天道から逸れ、天道に従う愚直な武人のミツヒデに討たれたってシナリオは嫌いじゃない。2016/11/30




