内容説明
「私はひとりになった。静かに涙が溢れて来た……祖国は敗けてしまったのだ。偉大であった明治の先人達の仕事を三代目が台無しにしてしまったのである」――収容所で敗戦の報に接した著者が見た戦争、そして戦後日本の姿とは。数々の戦争文学を残した作家が綴る、帰還兵への思い、六〇年安保、チェルノブイリ原発事故への眼差しなど戦争をめぐる証言。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
8
大岡昇平が「戦争について、折に触れて求められるままに書いた文章を集めた」一冊。戦前の書評まで収録されている(文体が後年とほとんど変わらないのが面白い)。吉田満『軍艦大和』、ルバングの日本兵、ベトナム戦争、ビートルズ、再びルバング島、石油ショック、三度ルバング島、レーガン政権、戦後四十年等々、大岡の戦争観を通じて日本の戦後史そのものが俯瞰できる。小野田元少尉に対するアンビバレンツな感情。戦争や軍隊は大嫌いなのに、「一兵士」としての感覚は最後まで抜け切れなかったのだろう。2022/07/03
パリスお布団
1
「文明が亡びた 、地球だっていつかは人類が棲息できなくなる時が来る 、というようなニヒリズムもまた現代の流行であるが 、この思想は支配階級にも気に入る思想だから警戒を要する 。人間の頭脳も身体の一部である 。思想はわれわれが死ぬためではなく 、生きるためのものでなくてはならないのである 。」 - 『人間差別がたどる運命』2022/06/09
hal
1
著者の戦争に関する文章を集めたcompilation。著者の政治や戦争への眼差しは、元来持っていたものにフィリピンでの従軍という実体験が加わって構築されている。故にブレない。40歳台の文章にも“頑固爺(失礼)”の風格あり。実体験者が退場後の社会で、“平和のためなら戦争する”と言っている政権に対し、ブレずに対応するには想像力が必要?丸谷才一との往復書簡もちょっと面白い。2014/11/12
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