内容説明
同時多発テロをきっかけに兵士になることを決めたサラの一人息子、ジェイソン。優秀な特殊部隊員となった彼は、最後と決めた任務のさなか、行方不明になってしまう。
息子の安否の情報をひたすら待つ母のサラ。彼女が年の離れた謎めいた男デイビッドと恋におち、若くして生んだのがジェイソンだった。物静かで強い青年に育った彼はいま、どこにいるのだろうか。アメリカが生み出した戦争文学の新しい傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
14
同時多発テロをきっかけに軍隊に入隊した息子は特殊部隊の隊員となり、任務中に行方不明に。ただ待つしかない母、サラの過ごした11日間を、時間軸をずらしつつ、息子と母の両視点から描いたもの。読み応えあってぐいぐい読まされた.野だけど、父の設定はちょっとファンタジーというか、もっとシンプルでいいのでは……と思った。あと、読後、これはもしかしてとてもストレートな軍隊礼賛のお話なのかなとも。それが悪いわけではないし、こういう題材ならイコール反戦話にすべきというのも違う気はしますが。ただ、最後までしっかり読ませます。2020/01/11
紅はこべ
14
現在の日本の政治家(特に与党)に読ませたいタイムリーな一冊。この主人公の母子のように、戦場に赴き、武器を取ることについての意義をここまで深く考える政治家が日本にいるだろうか。私は兵士を英雄視する米国の風潮に何となく違和感を覚えるが、それでもジェイソンのような覚悟で戦場に臨むのがアメリカの兵士の基本なら、認めざるを得ないのかも。沖縄駐在の米軍兵士の行状を見る限り、そうは思えないが。切ない結末。サラの幸福を祈りたい。2015/06/03
sasha
6
9.11後、大学進学ではなく兵士になることを選んだ息子。特殊部隊員としての最後になるはずの任務の最中、息子は行方不明となる。母が息子と再会するまでの11日間を、抑えた筆致で描き、戦争に係わるとはどういうことなのかを考えさせてくれる。戦闘場面があるわけでも、残酷なシーンが連続するでもない。それだからこそ、静かに深い親子の愛情が胸に染み入る。独語の余韻も大きい。新たなる戦争文学の誕生かも。2016/11/24
yooou
6
☆☆★★★ 設定も筋立ても受け入れ難い話でありました。中央政府に否定的なアメリカ人の一般常識から見て愛国心というにはあまりにも盲心的で政府の手足となることを厭わない彼らのような人々は確かに存在するのだろうとは思うのだけれども、それにしてもあまりにも偏ったものの見方・知識・価値観はどのようにして生まれているのか。書き手自身もそれに気づいていないようであるところが不気味でありました。アメリカ政府原理主義者という言葉があたまに響きました。2015/02/08
ふくさん
5
米国女性作家のリー・カーペンターのデビュー作。完成度の高い好著でした。親子愛、友愛、愛国、母子のひたむきな姿勢を抑制した筆致で丁寧に紡がれます。米国の厳しい現実がひしひしと伝わる物語です。終章、サラがアーリントン墓地へ赴く心情は胸に応えます。21世紀の戦争と銃後をリアルに提示した秀作です。2014/11/07
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