内容説明
正岡子規の妹・律は、幼いころ「私は兄さまのお嫁さんになるんよ」が口癖だった。実際、二度結婚し、二度とも離婚して実家に戻る律。やがて、脊椎カリエスを病み、激痛にのたうちまわりながら仕事を続ける子規の闘病生活を、彼女は命を燃やすかのような献身的な看病で支える。壮絶な兄妹愛を描く傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佳乃
20
子規の奔放さ、言葉とは裏腹の優しさ。いつだって献身的な律が切なく感じた。弱音を吐かずに強情っぱりで気が強く・・・なんて、そんなことないのに。とても辛かったでしょうね。2021/10/20
たみき
6
律さんの献身的な介護については何となく知ってる程度だったが、子規に対するこういう感情の捉え方もあるんだなと。あそこまでの自己犠牲は何だろうと思ってたが、こういう解釈もあるのかと興味深く読んだ。子規亡き後も、自力で己の人生をしっかり切り開いた姿。さすがです。2014/08/27
しよう
2
読み始めた時は、律の兄に対する気持ちが甘くて、少女漫画を読んでいるような気になりましたが、兄(正岡子規)の病状が進むにつれ、悩みながらも献身的に看病する姿に心打たれました。強く、そして情の深い女性でした。2014/10/07
みこと
1
(図書館) 松山時代の微笑ましさが、頁を繰るに従って強く胸に迫る。辛い…。大好きな合唱曲にも使われている短歌が、こういった状況下で産み出されたものだったとは…。壮絶な運命を生きた兄を妹はよくもここまで支え切ったものである。涙。金之助や真之が出てくるのは嬉しい2016/09/24
たそがれ浩兵衛
1
兄を思う妹の気持ちが一途でとても切なかった。子規に対する家族の献身さは尋常なものではないと何処かで読んで知っておりましたが、こんな思いを持っていたのかもしれないと思うととても納得できる気がしました。子規の歌もたくさん載っており、子規ファンは是非読みべき本ですね。この本を読んだあとで伊集院先生ののぼさんや坂の上の雲を再読すると捉え方が変わる気がします。2014/08/30