内容説明
近年、方言がドラマにおいて果たす役割がきわめて重要になってきた。
例えば、『カーネーション』から『八重の桜』、そして『あまちゃん』…。
本書は、言語研究の立場から、ドラマの方言を捉え直します。
果たして、ドラマの方言が変わってきているのか。
それとも、方言がドラマを変えたのか。
実際にドラマのことば指導を行っている俳優や、NHKのドラマ制作班の方々を迎え、その謎を考え、「ドラマ方言」が誕生する過程に迫る。
2014年3月に行われた「ドラマと方言の新しい関係」シンポジウムの完全書籍化。
目次
はじめに―ドラマのなかの方言はおもしろい●金水 敏
本書を読む前に知っておきたい
『カーネーション』『八重の桜』『あまちゃん』のあらまし
Part.1
ドラマ方言の新時代
1 フィクションの言語と方言●金水 敏
「役割語」について―人物像と結びつく話し方
リアルな話し言葉
フィクションの話し言葉
ドラマのなかで方言をどこまで取り入れるか
2『あまちゃん』が開いた新しい扉 ―「方言コスプレドラマ」ができるまで―●田中ゆかり
NHKの大河ドラマと連続テレビ小説
ドラマ方言と方言指導
「なんちゃって」から「リアルさ追求」へ
『あまちゃん』が開いた新しい扉―四つの装置
まとめ―方言とヒロインのかたち
3方言とアイデンティティー ―ドラマ批評の立場から―●岡室美奈子
『八重の桜』『カーネーション』『あまちゃん』―三人のヒロインたち
新島八重―会津を離れても変わらない言葉
小原糸子―岸和田に留まり続ける言葉
天野アキ―人工的に身に付けた言葉
ヒロインと地元の関係を反映する方言
Part.2 公開インタビュー
方言と格闘するドラマ制作現場
ほか