内容説明
息を呑むほどの美貌と気品をもつ模範囚・浅尾夏香は、なぜ仮出所を頑なに拒むのだろうか? 更生保護委員の岬剣一郎は、事件の再調査を始める。5年前、彼女は交際相手の母親を崖から突き落として殺害後、自首していた。母を殺されてなお夏香を想い続ける元恋人、強く反発するその妹……。数々の証言と証拠から岬が辿り着く、あまりにも残酷で哀しい真実とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
11
出口の裁判官シリーズ2作目。今回の岬の担当は、刑務官の間で「鶴の王女」と呼ばれている美人模範囚・夏香。交際相手・宏行の母親を殺害したとして服役していたが、なぜか仮出所を拒否。1作目同様、そこに深い、複雑な事情があるんよね。夏香の母親が看護師であり、宏行の父親が医師である点で、うちにはある仮説が思い浮かんだけど、実際にはそれより一捻り、二捻りされたおぞましい真実が…。本作で岬は、夏香の件と同時進行で、元恋人・美佳のフィアンセにかけられた殺人の嫌疑をも晴らす。どちらも、思い込みが真実を遠ざける元凶ってことか。2014/09/26
あや
10
シリーズ2作目。親の身勝手さに振り回される若者たち3人の悲しい運命。岬さんの機転が解決に導いてくれて、読みやすくて話も良かったです。真相が明らかになって良かった。2014/08/22
Cinnamon
4
待ち望んでいるはずの仮出所をしたくないという受刑者への疑問から、事件が巻き起こっていく。自殺が殺人で、殺人が実は自殺で・・・、と複雑な人間関係に読み進めるのが楽しかったです。たとえ他人の子であろうと、育ててきた娘に復讐だけを科すためにそこまで冷酷に出来るだろうかと、考えさせられます。2016/07/13
コウ
2
シリーズ二作目と気付かず手にとってしまいました。道理で…やたら突発的な設定が出るなぁ、と思いました。でも前作で描かれているなら納得。更正保護委員という職がクローズアップされているのが珍しいと思いました。事件も大きなものがふたつあり楽しめましたが、主人公が好きじゃなかったです。…なんだか、ロボットみたいで。元カノが出てくる割に感情が読み取りにくいというか…ちぐはぐな人物像に感じました。章立てもあんまり上手くないなぁ、という印象です。2020/08/01
青木ちゃかし
2
タイトルどおり、どんでん返しのどんでん返し!なんだか久しぶりに本格ミステリーを読んだような気がする。しかし、チョット修練しすぎな感。読者サービスとして、無理やりすべてをまとめたような違和感があった。でもシリーズと知らず本作から読んだので、一作目も読みたい。変なの!2015/12/14