内容説明
江戸幕府の三代将軍・徳川家光の時代に幕政を宰領し『徳川の平和(パックス・トクガワーナ)』の礎を築いた「知恵伊豆」こと松平伊豆守信綱。信綱には我が子のごとく慈しんだ少年・小太郎がいた。小太郎は南蛮医としての将来が嘱望されたが、決して知られてはならない秘密を抱えていた。信綱との固い絆の行方は如何に。やがて二人に最大の試練「島原の乱」が迫りくる――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
26
知恵伊豆と呼ばれた信綱が、自分の分身とも思える賢い小太郎を預かり、医者となるべき学問を全うさせようと、九州へいかせる。 ときは江戸幕府によるキリシタン弾圧の時代。 小太郎は赤子の時に、キリシタンだった母によって洗礼を受けていた。 信綱は取り締まる側。 恩のある信綱に迷惑をかけないようにと、切腹したふりをしてまで、島原の乱へと駆けつけたのは、九州で医学を学んでいた頃、したってくれた百姓の子新吉を気にかけてだった。自分にも妻子がいるのに? 何故?と納得出来ませんでした。2014/09/15
yamakujira
3
たしかに松平信綱が主人公なのだけれど、信綱の書生のようにかわいがられた美少年、小太郎の足跡に多くを費やし、また時代背景として切支丹の弾圧をクローズアップして、信綱が関わる幕政も酒井と土井の確執ばかりで、島原の乱の帰趨が決するあたりで幕引きとなる物語はなんとも冗長でページが進まなかった。島原の乱もクライマックスの迫力に欠けるしね。知恵伊豆と褒めるばかりもつまらないけれど、これでは老中としても藩主としても信綱の事績を追うには物足りないな。川越藩主としての信綱もえがいてほしかった。 (★★☆☆☆)2022/04/20
トラジ
2
松平信綱と才知あふれる少年賀山小太郎を中心に書かれた物語。宗教弾圧、大飢饉、治政の悪さの流れで島原の乱に向かう時代背景。救いのない悲惨なエピソード。その割に軽い印象の作品。2014/09/09