内容説明
第67回野間文芸賞受賞作。2013年2月、突然の高熱と激痛に襲われた作家は膠原病の一種、「混合性結合組織病」と診断される。不治、希少、専門医にも予測が難しいその病状……。劇薬の副作用、周囲からの誤解、深まる孤立感。だが長年苦しんできたこの「持病」ゆえの、生き難さは創作の源だった。それと知らないままに病と「同病二人」で生き、書き続けた半生をここに――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めろんラブ
78
これは闘病記ではなく”未”闘病記だと言い放つ笙野氏。その真意に思いを馳せてみるものの、数十年にも及ぶ体調不良に対する自罰と孤独は、私などの想像をはるかに超えて凄絶だ。これまで何冊か読む中で、幻想のうねりが高じたりルサンチマンの塊を投げつけたりと、攻撃的で難解な作風にしばしば圧倒されていた。それらが病と共に在りつつ、いや、病が有るからこそだったとは。”生きることは書くこと、書くことは生きること”を体現している氏が、小康を得た後に描く世界はいかなるものか。興味が尽きない。2015/02/23
やいっち
63
読んでてひたすらしんどかった。壮絶でもある。初めての笙野頼子作品を本作ってのは正解だったのかどうか。 2024/04/05
りつこ
35
疲れたとか動けないというレベルまるで違うのにそんな不自由さとも折り合いをつけてそれを書くことの原動力にして病院にも行かずにいたこの方のパワーに圧倒される。読んでいて、痛い痛い早く病院に行って検査して!という気持ちになったけど、発覚してからの受け止めかたと、その昇華のしかたに、もう天晴れとしか言いようがない。病気と共にいきる日々を「未闘病」と言いきり、「殺すかわりに書け」と言い放つ。かっこいいよ!そしてよくわからないところもあるけど好きだよ!文学って凄い。どうかこの調子で作品を書いていってほしい。2015/03/31
yumiha
28
まず表紙の緑色の猫の眼に惚れた。そして、同じ自己免疫疾患のリウマチ患者なので、発病の時のすさまじかった記憶が蘇った。10分と寝ていられない痛み。阪急河原町駅から八坂神社まですら歩けなかった疲労感。腕も足も痛くて力を入れられずに額で枕を押す反発力で起き上がった朝。指先が腫れてボタンも留めにくいし靴下もはきにくかった日々。ブレドニゾロン(ステロイド剤)も3年半ほど飲んだしフォサマックは今も続く。一緒や!と思いながら読み進めた。笙野頼子氏は、そんな難病を作家としてちゃんと表現に活かしておられるのが、私とは違う。2017/11/08
梟をめぐる読書
20
とてつもなく恐ろしい小説である。なぜなら笙野頼子がデビュー以来ずっと(『なにもしてない』の頃から)神話的に書き続けてきた症状としての「生き辛さ」の原因に「膠原病」あるいは「混合性結合組織病」という「公式」の「病名」が与えられてしまったのだから(そう、「笙野病」でも「カフカ病」でも「金比羅」でもなく「混合性結合組織病」!)。これまで紡いできた物語が、すべて否定されるような危機。しかしそのギリギリの状況においても、作者は自らの生を「文学」として刻み続ける。「殺す代わりに書け」という言葉がとにかく心に残った。2014/08/03
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