内容説明
社会の紐帯を失い、
人々はどこへ向かうのか
民主主義の国、アメリカはいま危機に瀕している。勝者と敗者に二極化し、政治や経済の制度がもはや機能していないなかで、社会の紐帯を失った市政の人々は新しい道を模索してさまよっている。
衰退した南部のタバコ農家をあきらめてバイオ燃料に賭ける企業家、ラストベルトの工場労働者からコミュニティー・オーガナイザーへと転身したシングルマザー、政治的理想と利権の間で揺れるワシントンのインサイダー、インターネットの未来に疑問を抱くシリコンバレーの億万長者……。
救済と成功を求め、自力で道を探すほかない人々の人生を丹念に追いながら、物語は編み上げられていく。
綻びゆくかつての超大国の姿を透徹した視点で描き切り、本国で高い評価を得た話題のノンフィクション。全米図書賞受賞(ノンフィクション部門)・ニューヨークタイムズベストセラーの話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
12
700頁近くある厚い本ですが、様々な人々の人生が時間の流れに沿ってランダムに切り替わっていくのでテンポよく飽きることなく読み進めることが出来ます。大統領選、サブプライムローンの破綻、アメリカ郊外の荒廃と貧富の拡大、など様々な重要なテーマがありますが、それらすべてがアメリカという一つの国を形作るパーツとなっていて、なおかつそれを成り立たせるのがひとり一人のアメリカ人なんだな、と感じました。読む人によって、この本の登場人物のだれに惹かれるかが分かれると思います。それだけ、多様な生き方が紹介されています。2014/11/08
白玉あずき
10
サブプライム狂想曲、法と金融が結びついた「タンパ」の章が特に印象的。うーん、でも「全米図書賞」?なんか意外。 それ程の感動はなかったな。底辺で苦しむ人に「これが自由の代償」と言わせるその「自由」って何だろう?格差が広がれば、今後アメリカの人びとに共有される価値、「自由」の意味も変わって行かざるを得ないだろう。機能しない政治、共有されない価値観、一体感の無い社会、綻びはあらゆる所に存在する。2014/11/04
ケニオミ
9
貧富の差が拡大し、民主主義が機能しなくなったアメリカ。その縮図として、政治家を裏から支えるスタッフ、バイオ燃料を用いて故郷の再生を図ろうとする企業家、廃れゆく故郷の再生を夢見る市民活動家、自由放任主義者のベンチャー・キャピタリストの4人の活動を四半世紀追い続けた力作です。中流階級の没落が、政治家と金融家のもたれ合いによって齎され、人々の貪欲さにより加速されていった過程がよく理解できます。本書にも記されている「ウォール街を占拠せよ」運動の結末が、現在の民主運動限界を示しているようで虚しさを覚えました。2014/09/08
まめタンク
3
2020年150冊目。たぶんアメリカ人でない我々にとって、オプラウィンフリィー(アメリカのみのもんた)やジョーバイデンの話を読んでもピンとは来ないです。唯一、ピーターティールに関しては共感出来るかもしれません。本書は簡単に言えば、アメリカの歴史を登場人物の歴史と絡めながら紐解くという事です。この本の一番の魅力は、「空気感」です。第二次世界大戦が終わり、60年代〜70年代、世界で最も豊かな国と呼ばれたアメリカ。しだいに格差が拡大し、医療さえまともに受けられない。綻びゆくアメリカの空気感、、。2020/06/07
sasha
3
4人の市井のアメリカ人を中心に、政治や時代の変化に翻弄されながらも前向きに生きる人間群像を描いた大作。なかでも産業の空洞から町が衰退していったヤングスタウンの話は他人事ではない。日本でも企業城下町の衰退が話題になったこともあるもの。絶望もあるし、苦悩もある。でも、僅かな希望でもあれば人は前向きになれるんだよな。きっと「強いアメリカ」でなくてもいいのかもしれない。普通の人々が普通に暮らせる。それが一番なのじゃないかな。「世界の中心で輝く日本」じゃなくてもいいのと同じでさ。2016/09/03
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