- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
洋の東西を超え、仏教に人類共通の智慧を求めた碩学、中村元。アカデミズムを超えて平易な言葉で仏教を説き、多くの人に慕われた人柄と、弛まざる学究の生涯をつらぬく〈普遍思想史への夢〉を、あざやかに描きだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
21
原稿用紙5000枚以上の博士論文をリアカーで大学に持ち込み、3000年に渡る初期ヴェーンダーンタ哲学史を再構成する。その業績で通常70、80代になってからもらうのが通例の文学博士号を僅か30歳で取得。学者人生のスタートからしてスケールが違いすぎる。しかもこれはその圧巻の研究の、僅か一部に過ぎないと来た。碩学とか権威とか大学者とか、そういう言葉がかえって恥ずかしくなるようなこの超弩級の仏教学者をお弟子さんが情感たっぷりに語った伝記。その傑出した人格も含め、人文学問の学者の一つの理想、究極を体現したような人物2017/10/26
ステビア
14
中村元先生の伝記だ。途轍もない人だったんだなぁと再確認。2015/06/18
パブロ
14
「仏教の入門書を読もう」と思ったら、必ずこの中村元の洗礼を受けずには通れない。でも、そういえば中村元のことを何にも知らなかったよな〜。ってなわけで、スゲ〜なこの人。サンスクリット語、パーリ語、チベット語からギリシャ語などに堪能で、著書が1400点以上。おまけに人格者って超人じゃん! 師弟愛に溢れた文章はちょっと暑苦しいときがあるけど、中村元の人柄と業績をきっちりと描き出している。それにしても、同時代のこれまた同じ天才・井筒俊彦とは何で交流がなかったんだろう。テーマもかぶっているのに。それがちょっと不思議。2015/03/19
伏木
2
中村さんの弟子に対する態度は、お釈迦様の教えに従ったものだと書かれていた。慈悲をもって人に接する態度は、”本当の仏教徒”であったと思う。その一生は、仏教徒としての一生であったと思う。論文など、1480余とある、月に2,3本の論文を書いていたことになる。 少しでも前に進めたいという気持ちがすごい。 驚嘆し、感動し、感謝する2019/12/24
はちめ
2
読みながら少し思ったのは、井筒俊彦との間に交流はあったのだろうか。イスラムの主軸を置いていた井筒と少し違うところもあるが、大乗起信論などへの関心においては共通している。ただし、文章のスタイルにおいては相当異なっているが。学会等において面識がなかったとは考えられないが、実際のところどうだったんだろう。2018/05/27