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内容説明
死なない方法を見つけた男、ウィンクするアンドロイド、人格の入れ替え譚、あべこべ病、天が抜け落ちる「杞憂」……アイロニカルで残酷、そして突拍子もないユーモア、現代の我々をも十二分に魅了するストーリーテラーぶり。論理立った正論の儒家、逆説の無為を説く老荘思想、そのどちらでもない第三の道を行く列禦寇の世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
兵士O
21
この本を読むという行為は読書家にとって最高の贅沢だと思います。中国の古典の中でも二流とみなされているし、何よりもこの本を読んで老荘思想のことを真剣に学ぼうと思っても、円満字さんが書いているように、老子・荘子と違って思想よりも語りの面白さに筆が移っていて肩透かしをくらうからです。要するに無駄知識(古いけどトリビア)ということ。僕も読んでいて、屁理屈だな~と思うエピソードがたびたびありました。でも、それを味わい、しゃぶり尽くすことが読書家の醍醐味。こういう時間つぶしが人生において最も幸福な時なんですよね~。 2022/10/06
にゃも
20
老子についての本を読もうと勇んで図書館に行ったのに、ついうっかり前から気になっていたこちらの本を借りてしまった。でも、列子も老荘系っぽいし特にガッツリした老子を読みたかったわけでもないので、全く問題ない。むしろ著者の解説が面白くわかり易いので、初心者にはピッタリだった。面白く語られるたとえ話から何を読み解くか…今回は読み手の力量というものを痛感した。時おり、見かけない漢字の解説などもあり、漢和辞典の制作にもかかわっているという著者に興味がわいた。中島敦の『名人伝』も読みたくなったり、また世界が広がった。2022/09/08
SGM
16
★★☆ちょっとよくわかんない(感覚的に理解できない)ようなところもありましたが、全体的に面白く読めました。老子が要点のみ、荘子が要点のたとえ話とすると列子は小説といった感じでしょうか。なにもかもがあべこべに見えてしまう病、天下一の力持ちと評判の臆病そうな男、人の感動を小バカにする男、死なない方法を見つけた男、心臓を入れ換える手術をする医者、精密なロボットを作った男、、、などが出てきます。なかなか興味深いですよね。それが老荘思想に繋がってくるといった感じです。2018/05/03
ワッピー
8
老荘思想に属する「列子」のキャラクターを中心にして、その特異性をわかりやすく解説。ストーリーに凝って、妙に高踏的・観念的・虚無的なロジックを展開するのが特徴とのことで、確かに言うために言っているのでは?と感じられるところもありました。この本を読まずに列子にあたったとしても、なぜこんなことを言っているのかわからないままだったでしょうから、このアプローチはありだと思います。原典は老荘思想の「無為自然」に近づくための手引というよりは列子の人間的な側面も含めての魅力紹介でしょうか。次は「列子」を読んでみます。2014/10/25
ひよピパパ
7
朝日新聞に紹介されていたこともあり、早速通読。『列子』という古典のもつ魅力を十二分に紹介してくれる書だった。『列子』からの選りすぐりの二十話を中心に紹介しつつも、その成立事情、思想的立場、特徴等の説明を、読者を飽きさせないように工夫して、うまく散りばめて述べられている。さすがは編集者の肩書きを持つだけあるな、と著者に対して感服してしまった。ただ、本書の内容自体は決して含蓄と深みのあるものではない。ストーリーテラーぶりは分かるが、その背景に何があるのかをもう少し分析し、筆者なりの考えを聞かせてほしかった。2014/10/19